写真1●コグニティブ無線の実験端末(右)と空電センサ(左)
写真1●コグニティブ無線の実験端末(右)と空電センサ(左)
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写真2●コグニティブ無線の基地局。複数の通信方式の装置が組み込まれている
写真2●コグニティブ無線の基地局。複数の通信方式の装置が組み込まれている
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 KDDIは,7月18日から東京ビッグサイトで開催されている「ワイヤレスジャパン2007」の会場で,電波資源の有効活用を図るための通信技術「コグニティブ無線」の研究開発について展示を行っている。コグニティブとは認識・認知といった意味。コグニティブ無線は,周囲の電波環境を認識・認知することで複数の通信方式の中から最適な方式を自動的に選択する通信方式である。

 KDDIが出展している実験装置は,コグニティブ無線の基地局と端末,無線環境を認識するための「空電センサ」。基地局と端末は,第3世代(3G)携帯電話方式のCDMA 2000 1x EV-DO Rev.AやモバイルWiMAX(IEEE802.16e),無線LAN(IEEE802.11a/g/j)に対応し,それぞれの利用状況を監視しながら最も利用率の低い通信方式を自動的に選択して通信する。上位レイヤのアプリケーションなどは,方式が切り替わったことを意識せずに通信を継続できる。現状では1分程度の時間間隔で方式の切り替えを判断しているという。

 その時点の各方式の利用状況だけでなく,空電センサを使うことで電波環境を検知して“先読み”も行う。通信している方式のトラフィックがその後に高くなると予測した場合には,トラフィックの低い別の通信方式にあらかじめ切り替えることが可能である。

 コグニティブ無線を使うことで,その時点で空いている無線方式を積極的に活用できるようになり,電波資源の有効活用につながる。また,災害被災地などにコグニティブ無線の基地局を持ち込むことで,複数の方式を併用して通信手段を確保する利用法でも実験を進めていることをアピールしていた。「コグニティブ無線は現時点では研究段階で,実用化やサービス提供は今後の課題」(KDDIの説明員)という。