写真●ウィルコムの喜久川政樹代表取締役社長
写真●ウィルコムの喜久川政樹代表取締役社長
 ウィルコムの喜久川政樹代表取締役社長は,7月18日から20日まで東京ビッグサイトで開催中のワイヤレスジャパン2007の基調講演において同社の事業戦略を説明した(写真)。この席上で,オフィスの固定電話-PHS間の定額通信サービスを準備中であることを明らかにした。

 同社のサービスでは,NTT局舎に「ITX」と呼ぶ装置を置き,PHSのバックボーン網をIP化している。喜久川社長によると,このITXとオフィスのPBXを固定回線で直結することで,オフィス内の固定電話や構内PHSと社外にあるPHSとの間での定額通話を実現するという。「早期導入に向けて取り組みを進めている」(喜久川社長)。

 このほか,スマートフォンと次世代PHSへの取り組み状況についても説明した。スマートフォンについては,7月19日発売の「Advanced/W-ZERO3[es]」の予約が1万件を超えていることを明らかにした。さらに,幅50mmと携帯電話として利用できるサイズにしたこと,ビデオ配信やコミック配信などのエンターテイメント・サービスを用意すること,名刺読み取り機能やMS Office対応などのビジネス向け機能などをアピールした。

 次世代PHSについては,サービス展開上の三つの必要条件を挙げ,それを満たすための方策を説明した。一つ目の条件はサービス・エリアが連続的な広いエリアであること。二つ目はトラフィックが集中するエリアでの大容量化。三つ目は低廉な定額料金にすること。

 これらの条件を満たすため,既存PHSのバックボーンや基地局の設置場所を活用してサービス展開するとした。バックボーンや設置場所を共用することで,設備投資を抑えながら広いエリアに展開しやすいという。また,全国の広いエリアで通信できるようにするため,「PHSと次世代PHSのデュアルモードで展開していく」(喜久川社長)。ただし,次世代PHSを展開するための電波は現時点で確保できていない。そのため,「2.5GHz帯の電波の免許には必ず申請する」(喜久川社長)とした。

 次世代PHSの技術的特徴もアピール。「OFDMA(直交周波数分割多元接続)やMIMO(multi-input multi-output),256QAM(直交振幅変調)といった最新の技術を利用して高速化する。また,既存のPHSでも搭載しているDCA(dynamic channel assign)を採用し,綿密な置局設計なしで簡単にマイクロセルを展開できるようにする」(喜久川社長)とした。京セラや三洋電機で次世代PHSシステムの開発が進んでおり,26Mビット/秒以上での動作が確認されていることも明らかにした。