写真●米フォーティネットのリチャード・スティーノンCMO
写真●米フォーティネットのリチャード・スティーノンCMO
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 セキュリティ対策製品大手である米フォーティネットのリチャード・スティーノン最高マーケティング責任者(CMO)は7月17日に開催した日本のメディア向け説明会で,欧米におけるサイバー犯罪の現状を説明した(写真)。「サイバー犯罪は,表面化しないものも数多い。欧米では,企業が競合企業にトロイの木馬を仕掛けるといった情報戦争も始まっている」と,スティーノンCMOは実情を明かす。「日本の企業も,競合他社を意識した情報漏洩対策を真剣に考える時期に来ている」。

 スティーノンCMOは,サイバー犯罪は今後増加するだろうと推測する。「セキュリティ技術の向上や,国際的な協力体制の確立など,犯罪抑制要因はある。しかしそれ以上に,脆弱性の増加や,個人情報売買マーケットの出現,ボットのまん延など,サイバー犯罪が増加する要因のほうが多い」というのがその理由である。

 実際,日本企業がターゲットになったケースもあるという。2004年10月に,何者かが清掃員を装って三井住友銀行のロンドン支店に進入し,キーロガーを仕掛けた。IDなどは盗まれたものの,幸い,実被害は免れた。スティーノンCMOは,「こういった犯罪の多くには,マフィアなどの犯罪組織が絡んでいる。日本の犯罪組織も,このようなサイバー犯罪に乗り出している可能性は高い」と警鐘を鳴らす。「捜査機関や行政と一体となって,対抗していく必要がある」(スティーノンCMO)。