hatena.com はてなの英語圏ユーザー向けサイト
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Fastladder RSSリーダーlivedoor Readerの英語版。Ajaxによるスクロールで大量のエントリーを素早くブラウズできる
Fastladder RSSリーダーlivedoor Readerの英語版。Ajaxによるスクロールで大量のエントリーを素早くブラウズできる
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24oclocks.com Twitterのメッセージを時系列で表示する
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Mylingual Japanizeの多国語版。Webサイトのメニューをユーザーが訳した翻訳結果を他のユーザーが共有できる
Mylingual Japanizeの多国語版。Webサイトのメニューをユーザーが訳した翻訳結果を他のユーザーが共有できる
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lingr AjaxとCometを利用したWebチャット・サービス。リロードしなくとも他のユーザーの発言がリアルタイムに表示される
lingr AjaxとCometを利用したWebチャット・サービス。リロードしなくとも他のユーザーの発言がリアルタイムに表示される
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 世界のユーザーをターゲットにしたサービスが,はてなやインフォテリア,ライブドア,サイボウズなどベンチャ企業の若手エンジニアから続々と登場している。

 はてなは2007年7月11日,英語圏向けのhatena.comを運用開始し,米国子会社発の新サービスを日本語版,英語版同時に公開した。開始した新サービスは「はてなスター(Hatena Star)」。はブログに設けられた「はてなスター」用ボタンをクリックして,閲覧者がエントリーに星を付け評価することができるサービスだ。はてなが運営するブログ「はてなダイアリー」だけでなく,livedoorブログ,FC2ブログ,Movable Type,WordPress,Blogger,TypePadに設置できる。

 はてなは2006年7月に米子会社Hatena Inc.を設立,代表取締役の近藤淳也氏が駐在し,世界に向けたサービスの開発を進めていた。

 ライブドアは2007年7月3日,「livedoor Reader」の英語版サービス「Fastladder」をリリースした。livedoor ReaderはAjaxを使った先読み機能により大量のエントリーを素早くブラウズできるRSSリーダーとして知られ,2006年4月にサービス開始,現在14万人が登録している。livedoor Readerは氏として知られるライブドアのエンジニア氏と「ma.la」氏らが開発している。ライブドアでは海外でも半年で10万人のユーザーを獲得したいとしている。

 RSSリーダー「glucose」を開発したグルコースの安達真氏と大向一輝氏は2007年5月,「24oclocks.com」と呼ぶWebサービスを開始した。24oclocksは,ミニメッセージSNS(ソーシャルネットワーキング・サービス)のtwitterが公開したAPIを利用しい,twitterに書き込まれたメッセージを年表のように表示するマッシュアップ・サービスである。両氏はIPA 未踏ソフトウェア・プロジェクトでglucoseを開発,スーパークリエータに認定されている。

 同じく未踏のスーパークリエータに認定されているサイボウズ・ラボの奥一穂氏は2007年3月,Webサイトのメニューをユーザーの国語に翻訳して表示する「Mylingual」をリリースした。2006年8月に公開した「Japanize」の多言語版である。MylingulおよびJapanizeのユニークなところは,ユーザーが翻訳を行い,それを他のユーザーが共有できるという点だ。翻訳データは,ユーザーがMylingulおよびJapanizeのサーバーに投稿する。MylingulおよびJapanizeは,Firefoxの拡張機能などのWebブラウザのアドオンを通じ,Webサイトのデータを翻訳データに置換し表示する。Japanizeはすでに200人以上のユーザーにより400以上のサイトのデータが投稿されている。

 これらの動きのさきがけとなったのが,インフォテリアの米国子会社インフォテリアU.S.Aの「lingr」だ。インフォテリアU.S.Aは2006年9月,AjaxによるWebチャット・サービスlingrをリリースした。サーバーからWebブラウザへのプッシュ型通信を行うCometと呼ばれる技術を使用し,リロードしなくとも最新の発言がリアルタイムにWebブラウザに表示される。インフォテリアU.S.Aの,江島健太郎氏を始めとする日本人,米国人によるチームが開発を行っている。

 YouTubeが英語のままで多くの日本ユーザーを獲得したことが示すように,インターネット上のサービスに国境はない。英語の壁さえ問題にならなければ,日本から海外のサービスを利用することができるし,逆に海外のユーザーが日本のサービスを使うこともできる。インターネット上のサービスは,海外の代理店と契約を結ばなくとも,海外のユーザーに利用してもらうことができる。

 世界に普及したRubyの例が示すように,日本の技術者の実力は決して海外に比べて低くはない。Webサービスは,オープンソース・ソフトウエアと公開されたAPIによるマッシュアップを利用することで初期開発コストは低く抑えることができる。資本ではなく,技術とアイデアが勝負だ。今後,世界で広く使われる日本発のサービスが出現する可能性は十分にある。

 もちろん,メニューを英語化したからといってすぐに海外で普及するはずはない。世界中でおびただしい数のサービスが日々リリースされている。海外のユーザーに知ってもらうための努力がなければ,いかに優れた技術でも埋もれてしまう。ユーザーに広めるための普及活動はまだまだ十分とは言い難い。しかし日本のユーザーが海外への普及を後押ししようという動きも出てきている。「このサービスが優れてていると思ったら,海外のソーシャルブックマーク・サイトで投票して,英語圏のユーザーに知ってもらおう」と呼びかけるブログもある。