NTTドコモは、現行の第3世代移動通信規格であるW-CDMA方式およびHSDPA/HSUPAを発展させた「Super 3G」システムの実証実験を始めた。今回の実験では、下り方向に関して最大約300Mビット/秒を目指している。同社の高速版「FOMAハイスピード」の最大速度は3.6Mビット/秒である。

 Super 3Gは、ユーザーにとってはデータ通信速度の高速化のほかに、接続遅延が短くなるというメリットがある。通信事業者にとっては、周波数の利用効率が向上するシステムである。

 NTTドコモは、国際標準化作業の進展に合わせる形で、2006年7月にSuper 3Gの装置開発に向けたメーカー募集を行っていた。結局、NTTドコモはNECと富士通を選定。NECは端末,富士通は基地局をそれぞれ開発する。

 今回の実験では、Super 3Gの試作装置を用いた室内伝送実験により伝送能力を評価する。最終的には、基地局送信および移動局受信にそれぞれ最大4本のアンテナを用いたMIMO(multiple input multiple output)構成を採り、下りについて最大約300Mビット/秒を目指すという。実験では、2台の基地局によるハンドオーバーも実施する。

 今回の実証実験で得られた結果は、Super 3G商用システム開発に反映される。NTTドコモは、2009年の開発完了を目指している。