NTTドコモは2007年7月から,NTTドコモが提唱する第3世代携帯電話(3G)の拡張規格「Super 3G」の実証実験を開始したと発表した。今回の実証実験では下り方向で最大約300Mビット/秒の通信速度を目指す。2009年に技術開発を終える計画で,その後の商用化を狙う。

 Super 3Gとは,W-CDMA(3G)の拡張技術であるHSDPA(high-speed downlink packet access)やHSUPA(high-speed uplink packet access)をさらに発展させた技術。遅延時間の短縮や通信速度の向上などを実現し,下り最大100Mビット/秒以上,上り最大50Mビット/秒以上のデータ通信速度を目指す。

 3Gの標準化団体「3GPP」では「LTE(long term evolution)」という名称で標準化が進められており,この活動にNTTドコモも積極的に関与している。LTEは,第4世代携帯電話システム(4G)の一歩手前のシステムとしての意味から3.9Gとも呼ばれる。なお高速伝送のために,複数のアンテナを用いて送受信するMIMO(multiple-input multiple-output)技術も採用する。

 今回の実証実験は,横須賀YRPにあるドコモの研究所内で実施。新たに開発したSuper 3G試作装置を使い,無線伝送能力を評価する。当初は送受信のアンテナが1本ずつのシステムを使う。最終的には送信側,受信側それぞれアンテナ4本のシステムも試す計画。これによって下り最大300Mビット/秒の通信速度を実現したいとしている。このほか基地局間のハンドオーバー試験や,音声や画像伝送,ゲームなど各種アプリケーションを用いた実験も実施する。

 同社は2006年7月にSuper 3Gの装置開発メーカーを募集。端末開発ベンダーとしてNEC,基地局開発ベンダーとして富士通をそれぞれ選定している(関連記事)。同社によると,「3GPPでのLTEの仕様はほぼ固まっているが,最終的な2007年9月から12月にかけてまとまる見込み。Super 3GもLTEの仕様に合わせていく」としている。

 LTEの実証実験は2007年に入り,フィンランドのノキア・シーメンス・ネットワークスや(関連記事),カナダのノーテル,韓国LG電子(関連記事),スウェーデンのエリクソンなどが続々と開始している。2007年5月には欧州のベンダーや通信事業者9社が,共同でLTEの試験を実施することも明らかになっている(関連記事)。