「顧客企業のイノベーションを支援するための新たな機能を、400以上盛り込んだ。これはSQL Serverに比べて5年は進んでいる」。米オラクルのアンディ・メンデルソン上級副社長は7月12日、データベース管理ソフトの新版「Oracle Database 11g」のアジア地域向け記者会見で、こう語った。11gは、同社にとって3年ぶりのメジャー・バージョンアップ製品。8月に米国でLinux版から出荷を開始する。
11gで搭載する新機能には、テストで利用する「Oracle Real Application Testing(RAT)」や災害対策機能による運用管理を容易にする機能、情報ライフサイクル管理(ILM)の機能などがある。
RATは、OSにパッチを適用したり、新たなアプリケーションを追加したりする際のテスト時に有用な機能だ。テスト環境に、本番環境と同じ設定を反映し、テストすべき項目を自動的に実行する。
2つめの災害対策機能は、Oracle Data Guardの利用範囲を拡大したものだ。バックアップやテスト、ローリング・アップグレードなどの作業を、リモート・サイト側で実行できる機能を追加した。ローリング・アップグレードとは、データベース管理ソフトにパッチを適用したり、バージョンアップしたりする際、ノードごとに順番にバージョンアップしていく作業である。
3つめのILMの機能は、アクセスされなくなったデータを低価格なストレージ装置に移行することで、ストレージにかかるコストを低減しようとする考え方を実装したもの。データ圧縮機能とパーティショニング機能を拡張した。アクセスされなくなったデータを11gのパーティショニング機能を使って、別の安価なストレージ装置に移行。必要に応じて、データを圧縮して保管する。「データベースに格納するデータ量は、2年で3倍にふくれあがっている。パーティショニングと圧縮機能によってストレージ容量をコントロールすることで、ストレージ・コストを15~20%下げられる」(メンデルソン上級副社長)。ILMはもともとストレージ・ベンダーが提唱していたが、実現するにはデータベースやコンテンツ管理ソフトとの連携が課題となっていた。
そのほか11gでは、非構造化データの管理や自動チューニングの機能を強化している。メンデルソン上級副社長は、「11gの機能は、ユーザーが望んでいるにもかかわらず、競合他社は実現できていないものばかり。容易に信頼性を向上できるだけでなく、運用コストも下げることができるので、企業のCIO(最高情報責任者)に11gのメリットを理解してもらえるはずだ」と自信を見せた。
Linux版以外の11gの出荷日は未定。製品体系やライセンス価格は10gと変更しない。日本では9月にも発表する予定である。
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