「ビリーズブートキャンプ」ならぬ、IT関連の教育者のためのブートキャンプを開催---。

 実務に直結するソフトウェア教育プログラムの開発・普及をめざす実践的ソフトウェア教育コンソーシアム(鶴保征城会長)は、8月24日と25日の2日間、東京工科大学(東京都八王子市)で、「FDブートキャンプ(合宿)」を開催する。ソフトウエア開発などIT教育の高度化を目的にしており、大学の関係者はもとより、人材育成担当者や研修インストラクタなど民間企業の人材の参加を求める考えだ(詳細はこちら)。

 FDは、教育者の資質・能力の開発、あるいは教育方法の開発を意味し、(1)大学教員や研修講師など教師の質の向上、(2)教育カリキュラムや指導法、教育に関わる材料(授業に使う教科書や参考資料、プレゼンテーション用教材など)の質の向上、(3)教師に対する自己研鑽や相互研鑚の機会の提供、などを目的とする。今回、実践的ソフトウェア教育コンソーシアムが実施するFDブートキャンプでは、上記のうち主に自己研鑽と相互研鑚の場を提供する。

 日本におけるIT教育のFDの先駆者である神沼靖子氏(情報処理学会フェロー)が講師を務め、近く出版予定の「教師のための教育テキスト」を用いた講義と演習を通じて、実践的な教育デザイン手法を教える。具体的には、研修の展開と概要説明、学生対応のソフトウェアエンジニアリング(ビデオの視聴とグループ演習あり)、実践的な教育デザインの重要性や教育の設計(専門分野のモデルカリキュラムと学科固有プログラム、教科と科目の位置づけ、シラバスの役割)、教育デザインのグループ演習などの講義がある。相互研鑽の場であることを強く意識して、合宿形式で行うことにした。

 あまり知られていないが、日本では「何を教えるか」の議論はあっても、「どのように教えるか」「演習やチーム学習をどう取り入れるか」「どの学習段階でどこまで教えるか」といった、教える技術に関しては、大学・企業を問わず、教える人任せなのが現状。このことは、特に新技術が次々に登場し、応用範囲も広がる一方のITに関する教育において、深刻な問題となっている。