オーバーチュアは7月12日,同社の検索連動型広告(キーワード広告)である「スポンサードサーチ」の管理API「Enterprise Web Services」を無償公開すると発表した。APIを使うと,広告主の在庫管理システムとキーワード広告システムを連携させたり,広告代理店が独自の広告管理システムを構築できるようになる。当初は広告代理店などのパートナーに限定してAPIを公開し,有償のサポート・サービスなども提供する。

 具体的には,キーワードを登録するAPIや,キーワードごとに何アクセスあったかといった「レポート」を提供するAPIなどをWebサービスとして公開する。これらのAPIを使うと,オーバーチュアが提供するWebベースの管理ツールを使わなくても,広告主や広告代理店が使っているアプリケーションから直接キーワード広告を管理できるようになる。広告主や広告代理店は例えば,膨大な量のキーワードを一括で登録するバッチ処理や,特定の時間だけキーワード広告を配信する「時間帯配信」などを自動化できる。

 もっとも,キーワード広告のAPIは他社でも公開しており,「単に公開するだけでは,広告主に使ってもらえない」(オーバーチュアの小沼剛氏)のが現状だと言う。APIを使うためには,APIの技術仕様だけではなく,オーバーチュアのキーワード広告の仕組みにも習熟する必要があるためだ。また日本では「キーワード広告の管理を広告主自身が行っているケースは稀で,広告代理店が戦略を立てて,実際の作業もしているのが実情」(同社の山中理恵氏)だという。

 そこで同社ではAPI公開に合わせて,「オーバーチュア認定テクノロジー・ソリューション・パートナー・プログラム」を8月下旬から開始する。これは,キーワード広告APIを使った広告管理ソリューションを提供するSEM(サーチ・エンジン・マーケティング)ツール・ベンダーや広告代理店を,パートナーとして認定するものだ。パートナーに対しては,開発に必要となる技術ドキュメントやトレーニングを無償で提供するほか,テクニカル・サポートや技術コンサルティングを有償で提供する。

 オーバーチュアとしてはキーワード広告APIをまず,SEMツール・ベンダーや広告代理店に使ってもらって,広告主に対するサードパーティのサービスを高度化させていく考えだ。既に米国では広告主に対してキーワード広告APIを公開しており,日本でも将来的には広告主にAPIを公開する考えだ。