写真●ファーウェイ・テクノロジーが実験で使っているフェムトセルのアクセス・ポイント
写真●ファーウェイ・テクノロジーが実験で使っているフェムトセルのアクセス・ポイント
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 中国の大手通信機器メーカーである華為技術(ファーウェイ・テクノロジー)が,超小型の携帯電話基地局「フェムトセル」の実験を日本国内で実施中であることが判明した。7月10日,同社日本法人の閻力大・代表取締役社長に対するインタビューの中で閻社長が明らかにした。

 閻社長によると,実験の概要は次の通り。(1)通信方式はW-CDMAおよびHSDPA(high speed downlink packet access)で音声とデータ通信の両方が対象,(2)アクセス回線はADSL,(3)テスト時のアクセス回線の伝送速度は1.5Mビット/秒以上,(4)IP網を介して携帯電話事業者のネットワークと接続する,(5)フェムトセルのアクセス・ポイント(AP,写真)と携帯電話事業者側のサーバー間を暗号化する――などである。

 アクセス回線に使用しているADSLについては,「送受信の信号の同期を取るのが難しいが,ファーウェイ独自の技術を使って対応している」(閻社長)という。HSDPAについては,「APは3.6Mビット/秒のデータ通信に対応している。今回の実験環境の回線は1.5Mビット/秒とそれよりも遅いが,BフレッツなどのFTTHを使えば速度の問題はない」(閻社長)と説明した。また,実験で使っているフェムトセルのAPはトライアル用で,商用化時は半分程度の大きさにする計画。商用化時期は「来年を予定している」(閻社長)。

 共同で実験を実施している携帯電話事業者は,閻社長は明言を避けた。W-CDMAという通信方式から判断するとNTTドコモ,ソフトバンクモバイル,イー・モバイルの3社が候補に挙がる。ただしNTTドコモは独自でフェムトセル装置を開発し,今秋から運用を開始することを7月10日に発表済み(関連記事)。また,ソフトバンク・グループは7月2日にフェムトセル実験を公開したが(関連記事),ファーウェイ製の機器は採用していない。

 残るイー・モバイルは,既にファーウェイ製基地局を採用してエリア展開を進めており(関連記事),ファーウェイとフェムトセルの実験を実施している可能性は最も高い。ただし同社は,「現在は(通常の)基地局設置で精一杯。フェムトセルの研究はしているが現状は出遅れている」とのみコメントした。

 なおファーウェイは,7月18日から20日に東京ビッグサイトで開催する「ワイヤレスジャパン2007」に,フェムトセル装置を出展する予定である。

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