写真1●マイクロソフト 執行役常務の大井川和彦 公共インダストリー統括本部長
写真1●マイクロソフト 執行役常務の大井川和彦 公共インダストリー統括本部長
[画像のクリックで拡大表示]

 「日本の医療のIT化を促進すべく本腰を入れる」(マイクロソフトの大井川和彦 執行役常務公共インダストリー統括本部長)。その第一弾として同社は7月11日、医療現場に携わる医師や看護師、病院のIT管理者などを組織化した協議会である「Connected Healthcare A* Round Table(CHART)」を設立した。セミナーなどの活動を通じて、マイクロソフトの製品群の使用を促する同時に、日本の医療現場のIT化推進を狙う。

 CHARTでは、定期会合やセミナーなどを開催。マイクロソフトは、医療のIT化に必要な技術やソフトウエアなどの情報を提供する。一方、CHARTに参加する医療機関などは、医療現場でのIT化の課題や解決策について協議し、その内容をマイクロソフトにフィードバックする。協議会は現在、国立成育医療センターや秋田大学医学部付属病院など7つの病院で構成しているが、今後はベンダーなどにも参加を呼びかける方針だ。マイクロソフトは、CHARTで収集した医療現場の意見を基にして、「医療専用の製品を開発することなどもあり得る」(大井川 統括本部長)という。

 同社は2006年から、Windows ServerやBizTalkといったマイクロソフト製品を使った医療のIT化を推進するコンセプト「Connected Health Platform(CHP)構想」を作成し、世界の医療機関に提案してきた。CHARTはこのCHP構想を基にした日本独自の事業である。

 ドイツや米国ではすでにCHP構想をベースとした病院のIT化システム導入事例があり、「患者のケアに費やす時間が10~25%増加したほか、年間のIT費用が8万米ドル削減できた」(大井川 統括本部長)という。日本でもCHARTのメンバーである済生会熊本病院が、CHP構想をベースに医療ITシステムを構築する予定だ。