ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントは2007年7月10日、ユーザーの周囲にある無線LANのアクセスポイントの情報からユーザーの位置を測定し、地図上に表示するサービスの実証実験を開始した。実証実験には誰でも参加可能。位置情報はgoo内に開設した実験サイト「gooラボ」の「エリア情報検索実験」で閲覧できる。

 今回の実証実験は、ソネットエンタテインメントの子会社クウジットが持つ「PlaceEngine」という技術を利用している。PlaceEngineの特徴は、公衆無線LAN接続サービスや個人宅、企業などのアクセスポイントが発している電波を利用すること。通常、アクセスポイントは無線LAN子機と接続するためにビーコンと呼ばれるパケットを出している。そのパケットにはアクセスポイントのMACアドレスや電界強度などの情報が含まれている。PlaceEngineでは、エリアごとに周囲にあるアクセスポイントの情報を専用サーバーに登録した。

 ユーザーが実証実験に参加するには、無線LAN機能を搭載したパソコンにPlaceEngineのサイトから専用ソフトをインストールする。次にWindowsの無線LAN接続機能などを利用してアクセスポイントを検索。周囲にあるアクセスポイントが検出されると、専用ソフトは検出されたアクセスポイントのビーコンからMACアドレスや電界強度を読み出し、その情報をPlaceEngineサーバーに送信する。PlaceEngineサーバーは専用ソフトからの情報と既にサーバーに登録されている情報を照らし合わせ、ユーザーの位置情報を推定して専用ソフトに返す。専用ソフトはPlaceEngineサーバーから送られてきた位置情報を基に、gooの地図上に現在地を表示する。

 検出の対象となるアクセスポイントには、一般ユーザーが家庭で使っている無線LANルーター(ステルス設定をしていないもの)なども含まれる。ただ、専用ソフトが参照する情報は、ビーコン内の情報だけであり、ユーザーが送受信しているデータなどが利用されることはない。

 PlaceEngineの仕組み上、アクセスポイントの情報がPlaceEngineサーバーに登録されていないエリアでは位置情報が表示できない。ただ、クウジットによると、政令指定都市の主要商業地域などを中心に、設置されているアクセスポイントの情報を収集し、既にPlaceEngineのサーバーに登録してあるという。また、ユーザーが位置情報を参照した際にそのエリアが未登録の場合は、現在位置の登録を促す。ユーザーが同意すれば、ユーザーのパソコンがキャッチしているアクセスポイントの情報とユーザーの現在地を併せてPlaceEngineサーバーに登録する。こうして、登録エリアを増やして、位置情報を検索できるエリアを拡大していきたいという。