写真1●「日本市場からたくさんのことを学んだ」と語るダレン・ヒューストン社長
写真1●「日本市場からたくさんのことを学んだ」と語るダレン・ヒューストン社長
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写真2●樋口泰行COO(最高執行責任者)。7月から中小企業向け事業も兼任する
写真2●樋口泰行COO(最高執行責任者)。7月から中小企業向け事業も兼任する
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 マイクロソフトは7月9日、同社の新年度が始まったのに合わせて、経営方針説明会を開催した。就任3年目を迎えたダレン・ヒューストン社長(写真1)は、「この2年、あらゆる面でマイクロソフトへの満足度が向上している」と、自身が推進している日本市場向け活動「PLAN-J」の成果をアピール。企業向け事業と消費者向け事業の2本柱を、引き続き強化していくと述べた。

 マイクロソフト日本法人は今年3月から、企業向け事業を樋口泰行COO(最高執行責任者、写真2)が、消費者向け事業をヒューストン社長が、それぞれ統括している。樋口COOは企業向け事業の重点強化策として、製品やサービスの品質向上に最優先で取り組むと明言した。「今年度の早い段階に、品質担当の責任者を任命する。製品、ユーザー企業で作り込むシステム、サポートやトラブル対応など、ユーザー企業が品質と認識するすべての領域について、きっちり責任を持てる体制を築く」(同)。

 樋口COOは、「外資系ベンダーが陥りやすいこと」として、品質保証の責任部門があいまいである点を指摘。マイクロソフト自身も「現状は製品やサービスの担当部署ごとに品質保証部門が分散している」(同)。これを改めるため、組織横断的に品質保証を手がける「バーチャル組織」を設けるという。

 具体的な活動としては、製品のバグを開発段階で米本社にフィードバックする体制の強化、マイクロソフト製品を使ったミッションクリティカル・システムの構築に関するガイドラインの整備や技術トレーニング、稼働後に品質問題が見つかった場合の対応を迅速化すること、などを挙げた。

 一方、消費者向け事業についてヒューストン社長は、生活の中でパソコンやネットを活用する「デジタル・ライフスタイル」は、「日本が世界に比べて3~5年進んでいる」と指摘。注力する分野として映画や音楽といったエンタテインメント分野でのパートナーシップ、ポータル・サイト「MSN」とネット・サービス「Live」、ゲーム機「Xbox 360」のパソコンとの連携、などを挙げた。「音楽や映像のデジタル化はどんどん進んでいる。2011年にはテレビの地上波放送がデジタルへ完全に移行する。マイクロソフトは0と1(デジタル)を扱うのが得意な企業。ソフトウエアで、デジタル・ライフスタイルをさらに支援していく」(ヒューストン社長)。

 ヒューストン社長は「日本企業や社会、コンテンツ・プロバイダと、より深い協力関係を結んでいきたい」と言及。現在の社員2300人に加えて、今年度は400人を新たに採用する予定だという。