慶応義塾大学は2007年7月6日、Web上で書籍を検索できるサービス「Googleブック検索」との提携を発表した。慶応義塾図書館が所蔵している書籍の中から、著作権の保護が切れた約12万冊などをデジタル化し、Googleブック検索上で閲覧できるようにする。国内向けのGoogleブック検索は2007年7月5日に開設したばかり。
グーグルはこれまでミシガン大学、ハーバード大学、スタンフォード大学など25の研究機関と提携して書籍のデジタル化を進めてきた。慶応義塾大学は日本では最初の提携先となる。2008年に創立150年を迎える慶応義塾大学は、グーグルとの協業を150年記念事業と位置付ける。「デジタル化して蔵書を公開することで、世界の多くの方々が目にすることができる。グーグルと連携して、新しい知を生み出す場所を作り上げる」と慶応義塾長の安西祐一郎氏。同大学では、これまで「福沢版本コレクション」や「高橋誠一郎浮世絵コレクション」をWeb上で公開してきたが、グーグルとの提携で学内に残る知識のデジタル化を加速する。
慶応義塾図書館(三田メディアセンター)が所蔵する244万冊の中から著作権の期限が切れた図書12万冊のほか、明治から昭和前期の日本語図書3万冊、御伽草子などの和装本9万冊のデジタル化を予定する。「基本方針は著作権を重視すること。グレーな場合はデジタル化しない」(慶応義塾大学メディアセンター所長 慶応義塾図書館長の杉山伸也氏)。デジタル化の作業は国内で2007年夏から開始する。グーグルとの契約期間は6年間で、その後は1年ごとに更新していくという。
グーグルは国内の出版社とも提携して、書籍のデジタル化を進める。コンテンツ保護の点からデジタル化に否定的な声もあるが「一部のページをGoogleブック検索で公開することで、プロモーションの一環になるという認識も出版社に広がってきた」(米グーグルのアダム・スミス プロダクト・マネージメント・ディレクター)という。