米Microsoftは,「Windows Vista」の高額なハイエンド・エディションである「Ultimate」をほかのエディションと差別化する目的で,Ultimate専用アプリケーションをダウンロード提供するオプション「Ultimate Extras」のリリースを約束した。ただし,一つ問題がある。これまでにMicrosoftが提供したExtrasアドオンはごく少数で,いずれも面白いものではなかった。Windows Vista Ultimate購入に法外な金額を払った顧客が,この状況の変化をあまり喜んでいないのは当然だろう。

 Microsoftは,何カ月も沈黙した後やっと反応した。MicrosoftのディレクタであるBarry Goffe氏がWindows Vista Ultimate関連ブログに,「(2007年)1月に紹介したExtrasのうち残った機能のリリースを目指し,積極的に作業を進めている。そのことをWindows Vista Ultimateユーザーに伝えたい」と投稿したのだ。「ユーザーの方々にこれほど長いあいだ進捗状況を報告しなかったことを謝罪します」(Goffe氏の投稿)。

 実際,どれほど長い期間だったのだろう。Microsoftは1月にExtrasを正式発表したが,同じ月のConsumer Electronics Show(CES)でデモンストレーションしたアドオン機能「DreamScene」はいまだに最終版がリリースされていない(関連記事「【CES2007】ゲイツ氏基調講演で明らかになった「Vistaの知られざる機能」」)。3月からGoffe氏の投稿があった7月2日までのあいだ,Microsoftは公式の場でUltimate Extrasに一度も言及しなかった。

 MicrosoftがこれまでリリースしたExtrasは,ポーカー・ゲーム「Windows Hold'Em」,暗号鍵バックアップ・ツール「Secure Online Key Backup」,BitLockerドライブ暗号化機能の設定ツール「Windows BitLocker Drive Preparation Tool」,Windowsの多言語ユーザー・インタフェース(MUI)用言語パック16種類の四つだけだ。現在Microsoftは,DreamSceneとMUI用言語パック20種類を「夏の終わりまで」に出すとしており,「今後2年かけ順次」追加のExtrasをリリースしていくというあいまいな約束もある。

 このようなことを書くのは失礼だと思うが,MicrosoftはVista Ultimate Extrasで完全な大失敗をしでかした。Goffe氏がブログで謝罪したものの遅すぎる。もしもMicrosoftが本気でUltimateをほかのエディションから差別化したいのなら,リリースする予定のExtrasについて,内容と時期をもっと明確に示すべきだ。