内閣府 情報化参与 CIO補佐官の平林元明氏
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IPAが自治体を対象に実施したアンケート結果
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パネルディスカッション「自治体におけるOSS活用に向けての実証実験の成果」
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 「国の最適化計画の半数近くが何らかの形でオープンソース・ソフトウエア(OSS)を導入、または採用を検討している。」---内閣府 情報化参与 CIO補佐官の平林元明氏は6月29日,IPAX2007 OSSフォーラム2007の講演で中央省庁におけるOSS採用状況について明らかにした。

 IPAX2007は独立行政法人 情報処理推進機が主催するイベント。平林氏は「情報システムに係る政府調達について~最適化計画で変貌する政府調達の現状と今後」と題して講演,政府のIT戦略について説明した。

 日本政府のIT戦略は2001年の「e-Japan重点計画」から継続して行われており,現在最適化計画が実施の段階にある。

 政府調達に関しては2007年3月に中央省庁のCIO連絡会議において、「情報システムに係る政府調達の基本指針」が決定され,2007年7月1日から適用されている(関連記事)。この基本指針ではオープンな標準に基づく要件要求の記載を優先することとなっており,それを補完する形で経済産業省は2007年6月29日,「情報システムに係る相互運用性フレームワーク」を正式発表した(関連記事)。また相互運用性や効率,柔軟性,管理の容易性向上を目的として,技術参照モデルフレームワーク(TRM:Technical Reference Model)を開発している。

 電子政府最適化計画は2004年度から2005年度にかけ策定され,現在は2006年度から2010年度にかけて実施の段階にある。CIO補佐官ワーキンググループでは5つのワーキンググループがあり,そのうちのひとつである技術情報ワーキンググループで参照モデルや業務継続性(BCP)に加えオープンソース・ソフトウエアについてのサブワーキングループがあり,提言を行っている。

 最適化計画へのオープンソース・ソフトウエア適用状況は今年の1月,各省庁のCIO補佐官に対して実施したアンケートで明らかになったもの。半数は何らかの形で,システムにオープンソース・ソフトウエアを採用している。「Linuxだけという場合もあるし,PostgreSQLなどオープンソースののミドルウエアを使っている場合もある」(平林氏)。

 オープンソース・ソフトウエアの利用を検討する理由としては,特定のベンダーに拘束されないこと,初期導入コストが低いことが挙げられている。逆にオープンソース・ソフトウエアの利用を阻害する要因としては,ノウハウが足りないこと,アプリケーションやミドルウエア,運用ツールなどが不足しているという回答があった。

 また続く「自治体におけるOSS活用に向けての実証実験の成果」というセッションでは,IPAが実施した2006年度の自治体へのオープンソース導入実証の成果が自治体担当者によって報告された(関連記事)。またIPA OSSセンター研究員の岡田良太郎氏は「地方自治体の6.5%がOSSを積極的に採用すべき,85.5%がOSSを業務分類やシステム階層分類に応じて採用すべきと考えている」という,IPAが実施したアンケートの結果を紹介した。