写真1 発売されたiPhoneを手に取る人々
写真1 発売されたiPhoneを手に取る人々
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写真2 サンフランシスコのアップルストア
写真2 サンフランシスコのアップルストア
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写真3 iPhoneのパッケージ
写真3 iPhoneのパッケージ
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 6月29日午後6時,アップルは携帯電話端末「iPhone」を発売した(写真1)。

 iPhoneをいち早く手に入れるためにサンフランシスコのアップルストア前に出来た行列は,徹夜組を含めて1000人前後で,アップルストアの正面からサンフランシスコ中心街の大きなブロックをぐるりと取り囲んだ(写真2)。ビーチチェアやマット持参のアップル・ファンが道路を埋め尽くし,通行人の関心をひいていた。テレビなどのメディア関係者や証券アナリスト,マーケット・リサーチャーが行列する人々にアンケートを取って回る光景も見られた。

 アップルストアは午後2時にいったん閉店。ガラス張りの正面入り口を黒い紙で覆い,内部でiPhone世界プレミア発売の準備に取りかかった。その間,入り口付近には数人の警備員が張り付き,ものものしい雰囲気に。アップルストアの店員によると,彼らにもiPhone発売の詳細はまだ伝えられておらず,この一時閉店から6時の発売までの間に販売手順などの説明を受けることになっているという。アップルの徹底した守秘対策がここでも適用されているわけだ。

 いよいよ発売20分前になって,人々は店舗入り口近くから整列した。10分前になると,黒いTシャツを身につけたアップルストアの店員数十人が,歓声を上げて歩道を駆け抜け,発売気分を盛り上げる。そして午後6時を数分経過した後,ついに行列の人々は10数人ごとに店内に招き入れられ,店員の拍手に迎えられた。店員の中には,アップルのデザイン担当副社長の姿もあった。

 店内には,iPhoneを試用するカウンターが設けられていたが,そこへ向かうのはほんの数人。ほとんどは販売カウンターに直行した。アップルストアでは,1人当たり2台までの購入を認めており(AT&Tの店舗では1台に制限),2台買う人も少なくない。

 iPhoneは,黒と銀で彩られた長方体の硬い箱に収められている(写真3)。客1人当たり2人の店員がつき,注文,袋入れ,支払いなどの作業がスムーズに進められる。電話のアクティベーションは「iTunes」経由でユーザー自身が行うことになっているため,待ち時間はほんの数分。レクチャー・スペースでiPhoneの使い方を説明をするプレゼンテーションも同時進行していたが,観客は皆無。ほとんどの人々が家路に急いだ。

 iPhoneを発売したのは,全米164店のアップルストアとAT&T店舗のうちの1800カ所。AT&Tでは,iPhone発売に合わせて2000人を追加雇用した。アップルでは最初の18カ月で1000万台のiPhoneを売り上げると見込む。

 発売開始時間が午後6時となった理由を,アップルのスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)は,「仕事をする人も来られるような民主的な時間だから」とあるインタビューで答えている。29日,アップルストアは午前零時まで販売を続ける。