ソフトバンクは6月29日,子会社のソフトバンクモバイルが販売した携帯電話端末の割賦債権を流動化し,合計で881億円を調達したと発表した。今後も継続して割賦債権の流動化による資金調達を行い,今回の881億円を含め,2008年3月までに合計約2000億円の資金調達を目指すという。調達した資金は,ソフトバンクモバイル買収にかかわる1兆3550億円の借入金の返済やソフトバンクモバイルの設備投資に当てる。

 ソフトバンクモバイルは,携帯電話端末を割賦で購入できるサービス「新スーパーボーナス」および「スーパーボーナス」を展開している(関連記事)。これらのサービスでは,ユーザーは12回または24回の分割払いで端末を購入できる。ソフトバンクモバイルから見ると,端末を販売した時点で端末代金に相当する割賦債権が生じることになる。今回は,この債権を金融機関に譲渡(流動化)することで資金調達を行った。

 企業の資産を流動化した資金調達は,資金調達する企業の信用力ではなく,資産そのものの信用力が評価の対象になる。ソフトバンクは,ソフトバンクモバイル買収に当たって携帯電話事業を証券化して資金調達を行った。その際は,ソフトバンクモバイルの携帯電話事業の収益力と信用力で評価された。一方,今回の資金調達は,端末販売で得た割賦債権の信用力で評価される。

 その結果,割賦債権の流動化による資金調達は,機関投資家向けは「Aaa」(米ムーディーズ),個人投資家向けは「A」(格付投資情報センター)の格付けを取得。「携帯電話事業の証券化の場合に比べ,半分程度の金利で資金調達できた」(ソフトバンク)という。

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