ソフトバンク・グループは6月29日,超小型の携帯電話基地局である「フェムトセル」の実証実験を同日から開始すると発表した。実験に必要な無線実験局免許は同日付けで総務省から取得した。実験期間は2007年12月までで,フェムトセルのアクセス・ポイント(AP)と携帯電話のコア・ネットワークとの接続方法や,フェムトセルのAPと携帯電話の基地局との電波干渉の回避方法などを検証するという。
フェムトセルとは,GSMやW-CDMAの携帯電話の基地局を小型化,低価格化することで,一般ユーザーでも導入可能にするシステムのこと(関連記事)。ユーザー宅のブロードバンド回線にフェムトセルのAPを接続し,ブロードバンド経由で携帯電話網につなぐ。これにより,既存の携帯電話機を使って,家の中では固定回線経由で,外出時には携帯電話として通信するFMC(fixed mobile convergence)サービスが実現できる。サービスの内容によっては,固定回線経由の携帯電話の通話料を抑えられる可能性もある。
今回の実証実験では2GHz帯の周波数帯を用い,ブロードバンド回線にはYahoo! BB ADSLサービス,Yahoo! BB光サービスを利用。ブロードバンド回線に接続したフェムトセルのAP経由で,音声通信やテレビ電話,HSDPA方式のデータ通信などを実験する。実験用のAPは最大6個で,端末は最大12台になるという。
なお今回の実験には,英アイピー・アクセス(関連記事),モトローラ,英ユビキシス(関連記事),日本アルカテル・ルーセント(関連記事),日本エリクソン(関連記事),サムスン電子,日本ソナス・ネットワークス,NECの合計8社のベンダーが参加。フェムトセルに関する代表的なベンダーが勢ぞろいしている。
フェムトセルのAPと携帯電話のコア・ネットワークとの接続方法は何通りか方法があり,各ベンダーごとに手法は異なる(日経コミュニケーション3月15日号の記事「3GSMで見えた通信サービスの新潮流『フェムトセル』がFMCを変える」を参照)。「今回の実証実験ではすべての方式を試すのではなく,一部の方法で携帯電話のコア・ネットワークと接続する形になるのでは」(ソフトバンクモバイル)という。
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