写真1 パロアルトのアップルストア前
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写真2 サンフランシスコのアップルストア
写真2 サンフランシスコのアップルストア
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写真3 iPhoneを求め,徹夜で行列する人々
写真3 iPhoneを求め,徹夜で行列する人々
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写真4 行列の先頭から2番目で並んでいるエリック・アイシャーさん
写真4 行列の先頭から2番目で並んでいるエリック・アイシャーさん
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 「iPhone」発売をいよいよ明日29日(米国時間)に控え,サンフランシスコとその周辺でもiPhoneをいち早く手に入れるための行列が始まった。ニューヨーク5番街のアップルストアではすでに27日から行列ができていたことに比べると,滑り出しはやや遅いが,アップルのお膝元パロアルトのアップルストアでは,午後4時時点でおよそ20人が並んでいた(写真1)。

 旗艦店であるアップルストアのサンフランシスコ店前には,28日の午後9時過ぎの時点で,40人以上が寝袋や食料を準備して野宿体制に入っていた(写真2写真3)。行列の先頭を陣取っているのは,マーケティング会社の社員だというTさん(54才)。イス持参で28日午前10時にやって来た。Tさんは2台の購入を希望。明日午後6時の発売までに,「2台のうち1台を転売する取引を成立させたい」と語る。2番目に並んでいるのはエリック・アイシャーさん(23才,写真4)。ベンチャー企業の社員で,上司のためにボランティアで並ぶことにしたという。趣味の楽器を携えての野宿となる。

 行列する人々の間で広まっている噂によると,サンフランシスコのアップルストアは1人当たり2台までの購入を認めるという。ただし,米国内の時差の関係で3時間先に販売が始まるニューヨークでの売れ行き次第では,1人1台に制限する可能性もあるとのことだ。行列を取材していると,複数台購入してオークション・サイト「イーベイ」で転売すると語る人々も散見される。

 米国で人気のある「売ります買います」サイトのクレッグズ・リストでは,1週間ほど前から「代わりに行列します」という広告が増えた(参考リンク)。料金は200~300ドル。「7番目の位置を確保!」など,各地のアップルストアやAT&T店頭ですでに場所を確保した人々が掲載する広告もいくつかある。発売前だというのに,すでに1200ドルや1500ドルで転売しようともくろむ広告掲載も多数並ぶ。iPhoneは早くも流通価値を獲得したといったところだ。

 こうした盛り上がりは,アップルの巧みなマーケティング手法によるところが大きい。今年1月に「6月予定」と発表されたiPhoneの発売日が,ようやく6月29日と確定したのは6月4日になってからのこと。それ以降,アップルは自社サイトでiPhoneのビデオを掲載し始め,また今週に入ってからはアップルストアのウインドウに,ビデオを内蔵した巨大なiPhoneのモックアップを設置した。さらに数日前に料金プランや「iTunes」を利用したアクティベーションの方法などを立て続けに発表。情報をひとつずつ小出しにしながら,消費者をじらして関心を盛り上げようという作戦である。これが功を奏して,ある調査によると,今や米国国民の3分の2がiPhoneの存在を知っているという。

 明日,アップルストアは午後2時から6時までいったん店を閉め,6時からのiPhone世界プレミア発売の準備に取りかかる予定だ。

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