欧州連合(EU)は現地時間6月28日,国際銀行間通信協会(SWIFT:Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)による米国への個人情報の引き渡しを条件付きで許可する意向を明らかにした。

 2001年9月11日の同時多発テロ事件の後,SWIFTはテロリストの資金追跡を目的とする裁判所の命令に応じて個人や企業の情報を米国財務省に提供していた。しかし欧州のデータ保護法では,欧州市民の個人情報をプライバシー保護原則に準拠しない米国に転送することを禁じているため問題となっていた。

 この問題を解消するために,米国・財務省は欧州委員会(EC)との話し合いを通じて,米国当局がSWIFTからのデータを対テロリズムの目的に限定して使用するほか,財務省が取得したデータを分析し,対テロリズムの捜査に必要のないデータは消去することを定めた。取得後に対テロリズム目的で利用できるか判断できないデータについては,最大保有期限を5年間としている。

 SWIFTが引き続き米国当局に情報を提供するためには,EUと米国が個人情報の転送について定めた「Safe Harbor Agreement」に署名する必要がある。またSWIFTを利用する金融機関には,顧客に対して個人情報を米国当局に引き渡すことの通知を義務付けた。

 SWIFTは,数日中にSafe Harbor Agreementに署名する意向を明らかにしている。また,SWIFTを利用する金融機関も顧客に対して個人情報を米国当局に渡すことを通知するシステムを2007年9月までに設けることで合意しているという。

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