米司法長官のAlberto Gonzales氏は米国時間6月27日,米ワシントン州で開催された業界団体のイベントにおける講演で,知的財産の窃盗およびサイバー犯罪に対する米司法省(DOJ)の取り組みについて紹介した。

 Gonzales氏は,政府がこれらの問題に注力していることを示す例として,2006年にDOJが着手したプロジェクトやサイバー犯罪で逮捕した容疑者などについて語った。その一例として,ボットネットを使って数百万通のスパムを送信し,“スパム王”として知られるRobert Soloway容疑者を2007年5月に起訴したことなどを紹介した。DOJは,複雑なコンピュータ犯罪に対応するように訓練された240人の連邦検察官を米国内に配置しており,業界の協力を得てサイバー犯罪事件への対応方法について訓練の強化を図っているという。

 DOJの起訴により,2006年に知的財産を侵害したとして有罪判決を受けた被告の数は,2005年よりも57%増えている。その中で2年以上の懲役を言い渡された受刑者の数は130%増加した。知的財産の盗難についても,専門的な調査のために訓練された検察官を配置しており,2006年にはワシントン州在住のScott Laney容疑者を起訴している。同容疑者には,米Microsoftのソフトウエアを割引価格で購入し,市場価格に近い値段で違法販売したとして,懲役5年および賠償金900万ドルの判決が下された。

 Gonzales氏は,著作権の侵害によって犯罪者は得た利益が,テロを含む違法な活動の資金として使われることを最も懸念しているという。「これは単に知的財産の保護だけでなく,安全保障に関わる問題である」と同氏は指摘している。

 DOJは,知的財産に関わる犯罪の撲滅を推進するために,各国政府とも協力を進めている。2006年には,米国外の100カ国を上回る国の3000人以上の検察官,捜査官,司法官に対してトレーニングを提供している。

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