インテルがハイエンド・サーバー向けプロセッサ「Itanium」シリーズの開発計画を明らかにした。今年後半に新型の「Montvale(モンテベール:開発コード名)」を投入する。2008年から2009年にかけては「Tukwila」を投じる。インテルはその後の「Poulson」と「Kittson」までの開発意向を表明し,基幹業務向けプロセッサとして安定して開発し続けることをアピールした。

 Montvaleは,2006年に投入したMontecitoと同じデュアルコア(コア2個)のままだが,Itanium2シリーズとして初めて65nmの製造プロセス・ルールを採用する。Montecitoは90nm。また,FSB(フロント・サイド・バス)をMontecitoの最大533MHzよりも高速化する。

 2008年から2009年にかけてはTukwilaを投じる。Tukwilaの製造プロセス・ルールはMontvaleと同じく65nmだが,マイクロアーキテクチャを刷新する。まずコア数をデュアルコアからクアッドコア(4個)に増やす。また,プロセッサ間の接続などに使う高速なインターコネクト技術を採用し,処理性能や拡張性を向上させる。さらに,主記憶に障害が発生したときの復旧機能を強化する。

 Tukwilaでは,x86系プロセッサであるXeonと同じチップセットを使えるようにする。Itanium搭載サーバーを開発しているメーカーの多くは,Xeon搭載サーバーも開発している。Itanium向けに独自開発していたチップセットをXeon向けと共通化できるので,チップセットやシステム・ボードの開発コストを低減できる。「処理性能や信頼性,コスト面を改善することで,米IBMのPowerや米サン・マイクロシステムズのSPARC,あるいはメインフレームの代替としての価値を訴えていく」(インテルの徳永貴士 デジタル・エンタープライズ・グループ統括部長)。

 2010年から2011年にはPoulsonを投入する。Poulsonでは製造プロセス・ルールに32nmを採用する。今年末からXeonなどが採用予定の45nmは使わず一気に32nmに進める理由は,「製造プロセス・ルールの開発スケジュールを考えると,32nmを順当に採用できる」(同)ため。なお,インテルはPoulsonの次の製品となるKittsonの開発意向を表明したが,詳細は不明である。

 インテルは今年後半,Montvale以外にも新製品や新技術を投入する予定。まず,まもなくセキュリティ機能を強化した企業パソコン向けプラットフォーム「vPro」を発表する。7月から9月にかけては,Xeonの大型サーバー向けラインナップである「Xeon MP」の新型を投入する。新しいXeon MPではコア数を現行のデュアルコアからクアッドコアに増やす。

 10月から年末にかけては,「Penryn」と呼ばれる新プロセッサ製品群を発表する計画だ。最新の45nm製造プロセス・ルールを採用する。PenrynファミリではXeonと,デスクトップやノート・パソコン向けのCore 2シリーズを用意する。

 特にXeonは,米AMDがまもなく正式発表するとみられるサーバー向けクアッドコア・プロセッサ「Barcelona(バルセロナ:開発コード名)」の対抗馬。インテルの及川芳雄技術本部長は,「処理性能と電力効率で業界のリーダーシップを維持する」と意気込みを語った。