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筑波大がIT人材育成の成果発表会を開催,2カ月で課題抽出から提案書策定までを実施

田口 潤=CN局プロジェクト推進部長 2007/06/27 ITpro
写真 PBL(プロジェクトに基づく学習)の成果発表会
写真 PBL(プロジェクトに基づく学習)の成果発表会
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 「わずか2カ月強の教育で,ここまでできるとは。文科省の“先導的ITスペシャリスト育成プログラム”は,意外に成果が出るかも知れない」---。そう思わされたのが,筑波大学のシステム情報工学研究科(大学院)が今年度から同プログラムの中で実施しているPBL(プロジェクトに基づく学習)の成果発表会だ。

 6月に開かれた発表会では,学生4~5人で編成したチームが,(1)大学の書籍部(書店)向けの商品管理システム,(2)同Web注文システム,(3)学生個人の情報管理システム,(4)民間企業向けの生産管理システム,に関して,各々20分間で課題抽出やそれに基づくシステム要件,具体的なシステム・イメージなどをプレゼンした(写真)。

 驚いたのは,どのプレゼンもきちんとツボを押さえたものになっていたこと。例えば,書籍部向けの商品管理システムのチームはまず,「学生数や学生が購入する本の数が減っていないにもかかわらず,書籍部の売上高が年々減少傾向にある」ことを指摘。次に,書籍部の担当者へのインタビューと顧客である学生への調査に基づいて,「在庫をきちんと管理できていないので必要な書籍をすぐに見つけられない」「販売時の会計に時間がかかる」などの課題を抽出した。

 その上で,書籍の注文取り次ぎ機能や検索機能を備えた在庫管理システムを提案したのだ。提案の中身も,システム導入の前後における業務プロセスの変化,見込まれる売り上げ増加とシステム投資額を対比させた費用対効果,開発スケジュールなどを網羅している。

 (4)の生産管理システムも同様だ。地元企業であるサンケー電機工業への提案を前提に,実際に同社の担当者にヒアリングし,PowerPointで25枚のスライドに提案書をまとめた。セキュリティへの配慮が不足していることや,システム導入後のユーザー教育工数をカウントしていないことなど,細かく見れば検討漏れも残るが,実務経験のない学生チームが短期間にまとめたにしては,上出来といえる。

 学生たち自身も,手応えを感じたようだ。中には「土日もゴールデンウィークもなかった。“ITは3K”と言われる理由が分かった」と冗談ぽく話す学生もいた。だが,多くは「すごく大変だったが,書籍部など実際に業務を行っているところにインタビューし,提案資料作りを経験できたのが良かった」,「チームで一つの提案を作ることがこんなに難しく,手間と時間がかかるとは思わなかった。コミュニケーションの大切さが分かった」,「技術だけではなく,対象業務や開発の流れなど,知るべきことがたくさんある。これまでの講義では得られなかったこと」と,前向きな感想を話していた。

 筑波大が採用したPBLは,具体的なプロジェクトを想定し,それをこなしながらシステム開発に求められる知識やノウハウを身につけていく学習方式。学生は,まず情報システムとビジネスモデル,代表的な情報システム(POS,CRM,CTI)の講義のほか,インタビュー方法や議事録の書き方,ビジネスマナー(常識,名刺交換,挨拶),開発プロセスの基礎,企画提案書作成方法,プロジェクト管理,プレゼンテーション方法といった授業を受けた後,実際のプロジェクトに取り組んだ。指導教官は菊池純男教授(日立製作所)と駒谷昇一教授(NTTデータ)の2人。「要所でアドバイスはしたが,基本的には学生の自主性に任せた」(駒谷教授)。どれだけ現実感のあるプロジェクトに取り組むかにもよるが,通常の講義や演習では得られない知識習得がPBLで可能になるといえそうだ。

 なお,冒頭に記した文科省の「先導的ITスペシャリスト育成プログラム」は,年間予算6億円強を投じ,筑波大学など6大学を拠点校として予算を配分。民間企業から教員の派遣を得て,高度なスキルを持ったIT人材を育成する国家プロジェクト。2007年4月から授業がスタートした。拠点校の決定から授業開始までの準備期間が短い,1校あたりの予算額が年間1億円と少ない,などの課題があり,それほど大きな成果は期待できないと見る向きが少なくない。実を言うと筆者もその一人だが,今回の発表会で認識を改める必要があると感じた。

 ただし教育効果が上がりそうになればなったで,新たな課題が出てくる。先導的ITスペシャリスト育成プログラムで学ぶ学生の,卒業後の就職問題がそれだ。多くのIT企業では大学院卒業生であっても,新入社員として教育を受ける。だがPBLによって“経験”を積んだ人材がそうでない人材と同じ新入社員教育を受けるのは不合理と言っていい。この課題について駒谷教授は,「中途採用としての処遇が解決策になり得るのでは」と語る。卒業までの間に,この課題が解決されることを期待したい。

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