「MSN環境特集」のページで、「マータイ」というキーワードにマウスを重ねたところ。これ以外にも「温暖化」「MOTTAINAI」などがハイライト表示されている
「MSN環境特集」のページで、「マータイ」というキーワードにマウスを重ねたところ。これ以外にも「温暖化」「MOTTAINAI」などがハイライト表示されている
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コンテクスチュアルサーチの利点
コンテクスチュアルサーチの利点
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キーワードファイルを後から読み込んでキーワードをハイライトする
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技術について説明するマイクロソフト ディベロップメントの中吉氏
技術について説明するマイクロソフト ディベロップメントの中吉氏
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 マイクロソフトは2007年6月26日、同社のインターネット検索サービス「Windows Liveサーチ」の新機能として、Webページ内の語句に関連する情報を自動的に表示させる「コンテクスチュアルサーチ(仮称)」を発表した。Webページ内のキーワードにマウスポインターを重ねると、そのキーワードで自動的に検索を実行し、結果をポップアップ形式で表示する。日本で生まれた機能で、まずは同社のポータルサイト「MSN」に導入。将来的には、パートナー企業のWebサイトや一般のユーザーが開設するブログなどでも利用可能にする予定だ。なお、現在のところ対応ブラウザーはInternet Explorer 6/7のみ。

 コンテクスチュアルサーチが導入されたWebページでは、検索を実行可能なキーワードが、周囲とは異なる文字色で表示されている。マウスポインターを重ねるとポップアップが現れ、そのキーワードで検索した結果が表示される。そのサイト内にある文書を対象としたサイト内検索の結果が1件、インターネット全体の検索結果が1件、そして画像検索の結果が最大で3件である。検索結果をクリックすると新しいウインドウが起動し、そのWebページが表示される。

 この機能の目的は、本来の作業を妨げずに付加的な情報をスムーズに提供すること。Webページを閲覧中、気になったキーワードや人名をネット検索していると、元々何のページを読んでいたのか忘れてしまい、「情報の中で迷子になってしまう」(オンラインサービス事業部 プロダクトマネージメントグループ サーチチーム 吉岡さやかプロダクトマネージャー)ことはままある。コンテクスチュアルサーチなら、わざわざ検索を実行せずとも関連情報が提示される。関連情報から元々のWebページに戻ることも容易なので、ユーザーにとっての使い勝手が向上する。さらにWebサイトの開設者にとっても、ポップアップでサイト内検索の結果を表示することで自サイト内のページビューの増加が望めるなどのメリットがある。

 現在コンテクスチュアルサーチが利用できるのは、MSN環境特集、MSNテレビ「美しき若き俳優特集」、MSNムービー「ハリーポッター特集」の3つのコンテンツ。今後、対応コンテンツを増やしていくという。

 なおコンテクスチュアルサーチという名称は、あくまで仮称。世界各国の商標登録調査などを経て、近日中に正式名称を発表予定という。

キーワードファイルを使って検索を実現

 コンテクスチュアルサーチは日本で開発された技術。以前からMSNの一部コンテンツで試験的に導入し、日本のユーザーの利用動向やフィードバックの分析を行ってきた。ユーザーから好評だったこと、技術面、運用面で一定の水準に達したことから、正式導入に至ったという。

 開発に当たっては、Webページそのものをじゃましない形で情報を提示することに注意が払われた。「コンテクスチュアルサーチがあまりに強い自己主張をすると、元々のHTML文書の可読性が失われる」(開発に携わった、マイクロソフト ディベロップメント Windows Live開発統括部の中吉寛プログラムマネージャ)。例えばキーワードを明示する際も、派手にハイライト表示するのでなく、リンク表示に近いデザインにした。さらに、一度マウスポインターを重ねてコンテクスチュアルサーチを実行したキーワードは、他の文字と同じ色で表示させて読みやすさを確保した。さらに、ポップアップが本文の文字やバナー広告の上に重ならないよう、表示位置を工夫する技術も盛り込んだという。

 将来的に他社の企業サイトや一般のインターネットユーザーにも利用してもらうことを考え、導入のしやすさも重視した。Webサイトの所有者は、基本的にページのHTMLに数行の記述を追加するだけでこの機能を利用できる。またWebページのメンテナンス性向上のため、コンテクスチュアルサーチを実行するキーワードは「キーワードファイル」と呼ぶ独立したファイルで管理する。キーワードを変更したい場合はこのファイルのみを編集すればよい。技術的には、ユーザーのブラウザーでWebページが読み込まれたあと、キーワードファイルを読み込んで該当するキーワードをハイライト表示する仕組みになっているため、Webページには一切変更を加える必要がない。またキーワードファイルを後から読み込むことで「Webページをロードする速度を落とさないようにした」(中吉氏)という。