中国・北京で、購入したメーカー製パソコンに海賊版OSが勝手にインストールされていたためパソコンが故障したとし、購入者が販売店である国美(Gome)とマイクロソフト中国法人を相手に損害賠償を請求していた裁判が2007年6月20日、北京市豊台区人民法院で結審した。

 人民法院では、販売した国美の店舗に対し、正規版Windows XPと交通費88元(1430円、1元=16.25元で計算)を原告に提供することを命じた。正規版を提供しなかったことが故障の原因として訴えられていたマイクロソフトに対しては「マイクロソフトが海賊版のWindows XPを提供したという証拠がなく、同社が海賊版を原告に提供する必要もない」とし、マイクロソフトへの損害賠償請求を棄却した。

 マイクロソフトでは「我々は著作権を所有しており、正規版を使用することを奨励している。原告のパソコンに海賊版ソフトがインストールされていた時点で、我々が被告になるのは間違っており、原告の請求には同意できない」と中国メディアに対しコメントしている。

 また今回、故障が起きたパソコンの製造元である方正電脳は「該当の機種は工場出荷時にDOSをインストールしている。海賊版のOSはインストールして出荷していない」と、海賊版OSのインストールは販売店が独自に行ったものだとしている。なお、中国のパソコンは無料で使用できる「Free DOS」がインストールされているのが一般的。

 多くの中国メディアがこの判決を受け、「販売時にインストールされていなかったOS(海賊版が多い)を、ユーザーの購入後に販売店が入れることは暗黙の了解」と論じる一方で、「このような習慣はやめるべき」と批判している。