情報通信審議会・情報通信技術分科会の「電波有効利用方策委員会」が2007年5月17日から6月11日まで行っていた「VHF/UHF帯における電波有効利用方策に関する考え方(案)」に対する意見募集に,NHKが地上デジタルラジオ放送への配慮などを要請する意見書を提出した。

 意見募集の対象になっていたのは,地上アナログ放送の終了後に空くVHF/UHF帯をどのように利用するかの方針案である。この方針案の中で,現在地上デジタルラジオの実用化試験放送で使っているVHF帯の第7チャンネルは2011年7月25日から,ブロードバンド(高速大容量)通信が可能な自営通信に割り当てるとされている。

 これに対してNHKは意見書の中で,地上デジタルラジオの実用化試験放送のリスナーに不利益を与えたり,無用の混乱をもたらしたりすることがないようにしてほしいと求めた。そのために,第7チャンネルを自営通信で使用する際の開始時期に一定の移行期間を設けるといった配慮をしてほしいと要望した。

 なお,NHKは意見書で,(1)新たにUHF帯に導入される移動体通信とITS(高度道路交通システム)のシステムが,地上デジタル放送や放送業務用PFU(フィールド・ピックアップ・ユニット)に電波干渉を与えないようにしてほしい,(2)VHF/UHF帯の同じ周波数帯域を利用するケーブルテレビ(CATV)に混信を与えないようにしてほしい──といった要望も盛り込んだ。ただし,VHF/UHF帯の周波数を再編する今回の方針案自体については,おおむね適当であると述べている。