ERP(統合基幹業務システム)パッケージ・ベンダーのローソン ソフトウエア ジャパンは6月21日、主力製品「M3」の新版M3 7.1を8月に出荷すると発表した。ユーザー・インタフェースを大幅に改善したほか、開発環境を提供することで、「システムの運用保守の手間が大幅に改善される」(杉本浩二 ソリューション・コンサルタント・マネージャ)という。年商300億円以上の中堅企業を主力市場として狙う。

 M3は、ファッション、食品・飲料といった「特定の業界向けの機能を充実させたことが特徴」(浅井ケント社長)のERPパッケージだ。例えば、ファッション業界向けの機能では通常の製造業向けのパッケージ・ソフトと比較して、「詳細な管理項目を持てるようになっている」(杉本マネージャ)。ファッションは、シーズンごとに製品の入れ替わりが頻繁で、デザインや色などの管理項目が多いためだ。新版では、ファッション業界向けの需要予測機能などを強化している。

 ローソン ソフトウエアはM3 7.1の投入と同時に、短期導入を支援するテンプレート製品「M3 クイック・ステップ」の提供も始める。クイック・ステップは、パラメータ設定や業務フロー図とその解説、エンドユーザー向けのマニュアルなどをセットにしたもの。クイック・ステップを利用すると、「導入期間、費用ともに30~40%程度削減できる」(杉本マネージャ)。導入費用は「ERPパッケージの適用規模や企業規模によって異なるが1億円以下になる」(浅井社長)という。ファッション業界向けから始め、流通業、食品・飲料、設備保全向けなどのクイック・ステップを提供する計画だ。

 M3は、以前「MOVEX」と呼ばれていた製品である。米ローソン ソフトウエアが06年5月、MOVEXを販売していたスウェーデンのインテンシア インターナショナルを買収した際に製品名を変更。インテンシアの日本法人も06年にローソン ソフトウエアに社名変更した。買収以前は、ローソン ソフトウエアは日本法人を持っていなかった。そのため、浅井社長は「日本での最重要課題は、知名度の向上。クイック・ステップなどを核に、ビジネスを拡大していきたい」と強調する。ローソンは、株式公開している世界のパッケージ・ベンダーの中では第3位だ。

 現状、日本では旧ローソン ソフトウエアのERPパッケージ「S3」は発売していない。「早い段階で、S3のパートナを見つけ、日本市場にも投入していきたい」(浅井社長)という。S3は人事分野に強みを持つ製品だ。