写真1●エリクソンが展示するフェムトセルAP
写真1●エリクソンが展示するフェムトセルAP
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写真2●英アイピー・アクセスのフェムトセルAP「Oyster 3G」
写真2●英アイピー・アクセスのフェムトセルAP「Oyster 3G」
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写真3●韓国サムスンのフェムトセルAP「UbiCell」
写真3●韓国サムスンのフェムトセルAP「UbiCell」
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 シンガポールで開催中の「CommunicAsia 2007」の会場には,超小型の携帯電話基地局を使う「フェムトセル」(関連記事)の展示が数多く見られる。スウェーデンのエリクソン(写真1)や英アイピー・アクセス(写真2),韓国サムスン(写真3),中国ZTEなどが関連製品を展示中だ。

 フェムトセルとは,GSMやW-CDMAの携帯電話の基地局(アクセス・ポイント)を小型化,低価格化を図り,一般ユーザーでも導入可能にするシステムのこと。ユーザー宅のブロードバンド回線にフェムトセルのアクセス・ポイント(AP)を接続し,ブロードバンド経由で携帯電話網につなぐ。これによって既存の携帯電話を使って,家の中では固定回線経由で通信し,外出時には携帯電話として通信するFMC(fixed mobile convergence)サービスが実現できる。さらにサービスの内容によっては,固定回線経由の携帯電話の通話料を抑えられる可能性もある。

 2月にスペイン・バルセロナで開催された「3GSM World Congress 2007」(関連記事)にて多くのベンダーが関連製品を披露し,最近の通信業界のホットトピックになりつつある。日本でもNTTドコモがフェムトセルの開発について言及し(関連記事),ソフトバンクもトライアルの準備中であることを明らかにしている(関連記事)。その波は確実にアジアにも押し寄せてきている。

 もっともCommunicAsiaの展示内容に関しては,2月に開催された3GSMとほとんど同じ。展示してあるAPは,モックアップがほとんどであった。多くのベンダーは,商用化の目標時期を2007年末から2008年にかけてとしている。

 フェムトセルのAP「Oyster 3G」を展示している英アイピー・アクセスのクリス・コックス マーケティング・マネージャーは,「3GSMから変わった点は,多くの事業者がフェムトセルについて理解してきたことだ」と説明。また「欧州とアジアの事業者とまさにトライアルを始めるところ」と打ち明ける。

 フェムトセルのAP「UbiCell」を展示するサムスンも「年内に米国の事業者とフェムトセルの商用サービスを始めたい」(担当者)と語る。サムスンのフェムトセルAPは,CDMA2000 1Xに対応しているのが特徴。ほかのベンダーのフェムトセルAPはGSMやW-CDMAが大半だ。

 最近になって,フェムトセルに関する業界団体「フェムト・フォーラム」が3月に発足し,7月に初会合を開くことも明らかになった。フェムトセルの商用化に向けて,ベンダーと通信事業者の取り組みはますます加速しそうだ。