スティーブ・チェンCTO(一番左)とチャド・ハーレーCEO(左から2番目)
スティーブ・チェンCTO(一番左)とチャド・ハーレーCEO(左から2番目)
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 米グーグルの子会社で動画配信サービスの米ユーチューブは2007年6月19日、YouTubeの日本語版を公開した。日本語版の開設にあたり19日夜、YouTubeの創設者であるスティーブ・チェンCTOとチャド・ハーレーCEOが、報道向けイベントを開催中のフランスからビデオ会見に応じた。

 チャド・ハーレーCEOは、日本を含む9カ国に対応させたことについて「これまではユーザーの使い勝手を高めることに注力してきたが、今後はサービスの国際化を進める」と宣言。国際化を進めるきっかけは米グーグルの買収であるという。スティーブ・チェンCTOは「グーグルに買収されたことにより、サーバーなど利用できる環境が充実し、国際化を進めるだけのスタッフもそろった」という。買収後は、グーグルの技術部門と共同でインフラ整備を進めた。基本的にデータセンターやネットワークの設備はグーグルと共有している。現状では9カ国のみだが、今後はより多くの国に拡大する。携帯電話など利用できる機器も増やしていく。

画像の特徴を指紋のように認識

 各国サイトの開設により利用者が増えれば、著作権に反するコンテンツが増える懸念もある。著作権保護を強化する技術としては、映像や音声の特徴(フィンガープリント)を自動認識する技術をグーグルの画像認識チームと開発していると説明。「コンテンツの権利を持つ所有者が誰なのかを明確に特定できる」(チャド・ハーレーCEO)という。コンテンツ管理のデータベースを構築し、違法コンテンツの存在をすぐに認識できる体制を整える。フィンガープリント認識のソフトウエアは公開し、コンテンツを所有する業者も利用できるようにする。日本では違法コンテンツが頻繁にYouTubeへアップロードされるという問題が起きているが、日本だけ特別の審査をすることはないという。

 各地域で関連企業や団体と著作権に関する交渉を進めるとともに「パートナーシップを結ぶうえで、新しい収益モデルを含めて考えていく」(スティーブ・チェンCTO)。コンテンツ配信のためにYouTubeを利用したいと考える企業だけでなく、広告媒体としての可能性に興味を持つ企業もあるという。今後は、コンテンツとのバランスを考慮しながらYouTubeのトップページで広告を掲載するといった方法を検討していく。