総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」(座長:堀部正男・一橋大学名誉教授)は2007年6月19日に第12回会合を開催し,通信・放送融合時代にふさわしい新たな法体系の方向性を示した中間報告をまとめた。新たな法体系のポイントは,通信・放送という現在のインフラ別の縦割りの法体系を,「コンテンツ」と「プラットフォーム」,「伝送インフラ」というレイヤー別の横割りの法体系に組み直したうえで,「情報通信法」(仮称)という新たな法体系に一本化することである。

 レイヤー別の法体系のうち,コンテンツに関する法体系の在り方については新たな概念を導入し,現在の放送サービスと通信サービスを,「特別メディアサービス」と「一般メディアサービス」,「公然通信」,「そのほかの通信」という四つに再編するのが望ましいとした。このうち,特別メディアサービスは現在の地上波放送を基本にしており,現行の規制を維持すべきとした。

 一般メディアサービスには地上波放送以外の放送サービスや,インターネットによる映像配信などの放送類似サービスが含まれる。適正なコンテンツの内容を確保するための規制以外は,基本的に緩和すべきとした。公然通信とは,Webサイトなどの公然性を持つサービスのことである。関係者全員が順守すべきルールを作成するとともに,有害なコンテンツについては「有害図書防止条例」のような「ゾーニング規制」を導入する是非を検討すべきとした。

 研究会の中間報告を受けて総務省は6月20日から7月20日まで,中間報告の内容に対する意見募集を行う。意見募集の終了後,8月から研究会の会合を再開し,12月をメドに最終報告をまとめる予定である。