東京電力の勝俣恒久代表取締役社長(左)と楽天の三木谷浩史代表取締役会長 兼 社長
東京電力の勝俣恒久代表取締役社長(左)と楽天の三木谷浩史代表取締役会長 兼 社長
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 楽天グループは2007年6月19日、IP電話サービスを提供する通信事業者のフュージョン・コミュニケーションズを買収した。楽天メディア・インベストメントが、東京電力が保有するフュージョンの全株式を取得するというものである。取得株式数は10万6527株で、これは全株式19万7797株のうち54.27%に相当する。譲渡価格は6億7300万円。

 同日会見した三木谷浩史代表取締役会長 兼 社長は、同社を買収する目的として「VoiceとWebによる新しいビジネスモデルの構築」「オフライン・ユーザーの取り込みによる楽天経済圏の拡大」「相互の会員(加入者)の相互利用による売上高向上」「楽天のオペレーションによるフュージョンの収益力への貢献」「フュージョンのIPネットワーク技術力の楽天のサービスへの活用」の5点を挙げた。

 新しいサービスに関して三木谷会長が「注目している」として特に言及したのは、「Pay Per Call(PPC)」と呼ぶ広告モデルである。PPCは、インターネットで広告を見たユーザーが無料電話で問い合わせをした際、その件数や通話時間などに応じて広告費が課金される成果報酬型広告であり、米国を中心にここ数年で広がりつつある。PPCの商品対象は、不動産や旅行サービスなど、専門家による解説が必要な高額商品となる。フュージョンの買収により、楽天のWebにおけるPPCの広がりが見込まれる。

 さらに、現在ベータ版として提供されているコミュニケーション・サービス「楽天メッセンジャー」も強化するという。具体的には、楽天会員への050電話番号の付与や、楽天メッセンジャーから電話網への接続ができるようになる。

 三木谷会長は「ジャスト・アイディア(思いつき)だが」としながらも、パソコン上のIP電話(ソフトフォン)から携帯電話への転送など、新機能の追加に向けて積極的に取り組む姿勢をみせた。一方、通信事業に重点を置くソフトバンクのような事業形態については「あまり関心がない」とした。