TCP/IPプロトコル・スタックやWebブラウザなどの組み込みソフト大手のACCESSは6月15日,画像ファイル形式のCompuServe GIFで用いられるデータ圧縮アルゴリズムであるLempel Ziv Welch(LZW)の特許をめぐる係争で,かつてLZW特許を持っていた米Unisysとの間で和解が成立したと発表した。和解にともない,ACCESSは米Unisysに600万米ドルを支払う。これにともない,2008年1月期第1四半期(2007年10月~2008年1月)に,特別損失として8億8676万6000円を計上する。

 係争は,GIF形式を扱うACCESSのWebブラウザ・ソフト「NetFront Browzer」および「Compact NetFront Browzer」に関する米Unisysへのライセンス料の支払い義務に関するもの。ACCESSは米Unisysとの間で2000年12月にライセンス契約を交わしているが,米Unisysとの間で別のライセンス契約を交わしたベンダーへのNetFront Browzer/Compact NetFront BrowzerのOEM供給もしている。このOEM供給先への販売分に関してACCESSから米Unisysにライセンス料を支払う義務があるかないかで,ACCESSと米Unisysが互いに異なる主張をしてきた。

 ACCESSは今回,想定される仲裁内容や今後の弁護士費用などを考慮の上,米Unisysの主張を受け入れることなく,和解金を支払うことにした。米UnisysのLZW特許は米国で2003年6月20日(日本国内では2004年6月20日)に失効しているため,今後の事業に与える影響はない。

 なお,LZW特許は米Unisysが1985年に取得した特許である。長らく特許の権利を主張してこなかったが,1999年にフリーソフトを含めてLZWを用いている製品サービスを提供するベンダーにライセンス料を支払うよう主張し始めた。これにより,GIFを代替する画像フォーマットであるPNG(Portable Network Graphics)の開発などにつながった。なお,それより以前の1992年には,Free Software Foundationが,LZWを使う従来のデータ圧縮ソフトcompressの代替としてGNU zip(gzip)をリリースしている。