大和総研は、証券会社の注文から決済までの業務を代行する共同利用型システム「SONAR」を刷新する。2008年10月の稼働を目指す。証券会社の営業店端末やインターネットといった注文に利用している各チャネルを統合する。銀行の勘定系システムなどとも接続する予定だ。

 新SONARは、証券会社の営業店端末やインターネットなどからの注文に利用している各チャネルと、銀行の勘定系システムや各証券取引所と接続するバックエンド用のチャネルを一つの基板上に統合する。チャネル統合基盤には日本IBMの「MCT/CIS」を採用する。大和総研の小野智彦金融ソリューション事業本部新証券システムプロジェクト部長は、「MCT/CISを用いることで既存の基幹システムに影響を与えずに各チャネルを統合できる。新しいアプリケーションの追加も容易だ」と話す。

 注文用のチャネルを統合することで、顧客情報を一元管理していくようになる。サービス利用状況などが把握可能なので、「販促用のデータとして利用できる」(小野部長)。システムごとに管理していた個人情報も1カ所に集まるため、「コンプライアンスの点でも有効だ」(同)という。

 「注文から入出金までの処理を同一の画面で表示できるようになるため、操作性の向上や処理時間の短縮が見込める」(小野部長)として、投資信託を窓口販売している銀行に新SONARと勘定系システムの接続を促していく。

 サーバーにはIBM製のメインフレーム「System z」を採用。System zの論理区画を分割し、現行システムから変更のない証券業務用アプリケーションなどはz/OSで、新しく追加するチャネル統合基盤や印刷用アプリケーションはLinuxで動かす。現行のアプリケーションを生かすことで、「開発期間は従来の半分の1年半になった」(小野部長)。開発に用いた言語はJava。システム刷新費用はおよそ100億円だ。

 現在SONARを利用している証券会社は約30社。今回の刷新により、「2010年には60社の利用を目指したい」(小野部長)と意気込む。2008年10月に、第1号ユーザーが利用を開始し、その後1年以内にすべてのユーザーが新システムに移行する予定だ。システムの移行に伴う利用料の変更はなく、サービスに応じて月額数100~数1000万円で提供する。