新しくなったメインメニュー(左下)では、ボタンで表示項目を切り替えられる
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SUSE Linux上で動作しているOpenOffice.orgで、Word 2007文書を開いたところ
SUSE Linux上で動作しているOpenOffice.orgで、Word 2007文書を開いたところ
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 ノベルは2007年6月15日、近日中に提供開始予定の企業向けOS「SUSE Linux Enterprise 10 SP1」の説明会を開催した。クライアントパソコン向けの「SUSE Linux Enterprise Desktop 10 SP1」(以下、SLED 10 SP1)では、デスクトップのユーザーインタフェースの刷新や、セキュリティの強化などの改良が図られている。また2007年2月に発表したマイクロソフトとの提携による成果として、マイクロソフトOfficeで作成したファイルの読み込みを可能にするモジュールなどを追加した。

 SLED 10 SP1では、メインメニュー(Windowsの「スタートメニュー」に相当)のデザインを改良。上部に設けられた「アプリケーション」「ドキュメント」などのボタンによって、表示させる内容を切り替えられるようになった。世界各国の時間を表示できる時計や、ハードディスク領域の利用率を調べられるアプリケーションなども追加した。セキュリティも強化し、ユーザーのホームディレクトリーを暗号化できる機能や、デスクトップ環境を固定化し、勝手に変更できないようにする「デスクトップロックダウンツール」などを用意した。

 オフィスソフトには、「OpenOffice.org 2.1.14 Novell Edition」を搭載。マイクロソフトの「Word 2007」で作成した、「.docx」形式のファイルを読み込めるコンバーターを用意する。ExcelのVBAマクロとの互換性向上や、プレゼンテーションソフト「Impress」でマルチモニターに対応するといった変更も加えた。これ以外に、音楽再生ソフト「Banshee」でポッドキャストや音楽中心のSNS「Last.fm」に対応するなど、マルチメディア関連の機能強化も図っている。

 サーバーOS「SUSE Linux Enterprise Server 10 SP1」(以下、SLES 10 SP1)は、仮想化機能の強化が目玉。仮想化ソフト「Xen」上で動作する対応OSの種類を拡充する。Xenは、ゲストとなるOSに変更を加えることなく動作させる「完全仮想化」と、ゲストとなるOSを修正して高速な動作を可能にする「準仮想化」と呼ばれる2つの仮想化技術に対応している。このうち完全仮想化のサポートOSに、Windows Server 2003 R2を追加。マイクロソフトも、Xen上でのWindows Server 2003 R2の動作をサポートするという。

 さらに、完全仮想化環境で動作するゲストOSに対して、準仮想化と似た環境を実現するデバイスドライバー(パラバーチャルドライバーと呼ぶ)を提供し、動作速度の向上を図る。SLES 10 SP1は自身であるSLES 10 SP1をゲストOSとして動作させることが可能だが、これを高速化するためのSLES 10 SP1用のパラバーチャルドライバーを同梱する。数カ月後にはWindows XP、Windows Server 2000、Windows Server 2003 R2用のパラバーチャルドライバーも提供予定。説明会ではWindows XPを例に、パラバーチャルドライバーを使うと、使わない場合に比べてネットワーク性能が20倍以上向上するといったデモンストレーションを実施、その効果を披露した。