北京市在住の消費者が、中国最大手の家電量販店「国美(Gome)」で購入したパソコンの故障を巡り、国美とマイクロソフトを提訴したと、中国メディア「新京報」が報じている。

 今回訴訟を起こした消費者が購入したのは、中国国内シェア2位の方正製のパソコン。同製品にはOSがプリインストールされていなかったが、国美から配送されてきたものには、海賊版のWindows XPがインストールされていた。ところが、使用を始めて4カ月後には、頻繁に故障が起きるようになったという。その後、国美に依頼して修理した結果、故障の原因はインストールされていた海賊版のWindows XPにあるということが分かったとしている。

 消費者はこの故障に対する責任は、海賊版OSを勝手にインストールした国美、および、正規版Windows XPをパソコン本体に付属させなかったマイクロソフトにあるとし、損害賠償費用など計300元(約4830円、1元=16.1円で計算)、および正規版のWindows XPへの交換を両社に請求している。

 新京報に対し、販売店の国美は「OSは国美が販売した範囲外のもの」とコメント。マイクロソフトは「我々も消費者によって権利を侵害されている。正規版のOSに交換せよ、といわれる筋合いはない」と反発している。今回の訴訟の対象にはならなかったパソコン製造元の方正も「OSは一部のプリインストールモデルにのみ提供している。OSが必要なら、正規版も店舗を通さず購入が可能」と回答を寄せた。

 中国では、OSがプリインストールされていないメーカー製パソコンは特別な存在ではない。また、OSが付属していないパソコンに対し、販売店が海賊版OSを入れることは、普通の習慣として受け止められている。今回の提訴の背景には、海賊版OSを使用することに対し、何の疑問も感じない消費者の心理が映し出されているともいえそうだ。

 なお、中国は世界貿易機関(WTO)加盟を契機に、著作権など知的財産権侵害問題の解決を、米国をはじめとする先進国から強く求められている。最近では、著作権侵害が絡む裁判では権利者側が勝訴するケースが増えた。また、海賊版使用など知的財産権を侵害するような行為をやめるよう啓蒙(けいもう)するコンテンツが、テレビ、ネット、新聞などで、中国全土で連日のように配信されている。