写真●NTTの山田隆持 代表取締役副社長
写真●NTTの山田隆持 代表取締役副社長
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 千葉県の幕張メッセで開催中の「Interop Tokyo 2007」にて6月14日,NTTの山田隆持 代表取締役副社長(写真)が「光ブロードバンドの発展とNGNへの取り組み」と題した基調講演を行った。会場内は多くの立ち見客が出るなど大盛況で,NTTが進めるNGN(次世代ネットワーク)への関心の高さを伺わせた。

 山田副社長はまず,日本のブロードバンドの現状について解説。諸外国と比べて日本のブロードバンド普及率は86%と非常に高く,料金面でも世界で一番安くなっていると語った。しかし「急増するトラフィックや,サイバーテロ,ネットの悪用,地震などの大規模災害時の対応など課題も数多く残っている」と指摘。「これからは料金の安さに加えて,高品質でセキュリティを担保したネットワークの必要性がある」と語り,それこそNTTグループがNGNで実現したい方向性であるとした。

 山田副社長は続いて,NGN実現へ向けた具体的な取り組みについて触れた。2006年12月20日からフィールド・トライアルをスタートし,2007年4月からは一般ユーザーも実験に参加している状況を紹介。現在一般モニターは500名程度だという。

 NGN上で展開するサービス像については,大手町のNTTグループのショールーム「NOTE」で展示中のトライアル・サービスを例に挙げ,NGNの利点について触れた。例えばNOTEで展示中のHD(high definition)品質のテレビ会議システムについては「電話をかけるのと同じ手軽さでシステムを利用できる点がミソ。バックボーンに専用線を使っても同じサービスが可能だが,準備に時間がかかり不便」(同)とし,NGNならではのメリットを強調した。

 山田副社長はさらに,NTTグループの研究開発の取り組みも紹介。1本の光ファイバを最大32分岐できるPONの標準化や,曲げが自由で取り扱いやすい光ファイバの開発などをNTTが率先して進めてきた点に触れた。このような研究開発の取り組みによって「ネットワークにかかるコストを大幅に削減できるようになった」(同)と語り,研究開発の効果もアピールした。

 最後に山田副社長は「NTTグループはブロードバンド・ユビキタス社会の実現に貢献していきたい」と語り,講演を締めくくった。