写真1●Safariで動作するSilverlightアプリケーション
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 マイクロソフトは6月14日,Webやアプリケーションのユーザー・インターフェース(UI)を開発したり,動画やベクター/ビットマップ画像を作成したりするツール群「Expression Studio」を正式発表した。統合製品の「Expression Studio」,Webを開発する「Expression Web」,動画や画像を作成する「Expression Blend」,アプリケーションのUIなどを開発する「Expression Design」,デジタル・メディアを管理する「Expression Media」があり,いずれも7月13日に発売する。

 統合ツールであるExpression Studioの価格は,通常版が7万8540円で,アップグレード版が4万5990円。ただし,アップグレード対象として無償でWebで公開している「Visual Studio 2005 Express Edition」も含まれているため,ほぼ全てのユーザーがアップグレード版を購入できる。マイクロソフトの市橋暢哉デベロッパービジネス本部長は「Expressionは先行製品を追い抜くことができるか,とよく聞かれるが,その手段の1つが価格設定だ」と,戦略的なディスカウントであることを強調した。

 Expressionにはいくつかの側面があるが,現在マイクロソフトが特にプッシュしているのが,「Silverlight(開発コード名:WPF/E)」に対応したアプリケーションの開発ツールとしての側面である。Silverlightは,米Adobe Systemsの「Flash」や「Adobe AIR(開発コード名:Apollo)」に対抗する,Webブラウザ向けのアプリケーション実行環境。「Internet Explorer」や「Firefox」に加えて,Mac OS Xの「Safari」にも対応する。マイクロソフトは今回の発表会でも,マルチブラウザ対応であることをアピールするためにSafariでSilverlightをデモした(写真1)。

 Silverlightでは,ユーザー・インターフェースを.NET Framework 3.0の「Windows Presentation Foundation」と同じ「XAML」で,アプリケーション・ロジックをJavaScriptで記述する。今後リリースする「Silverlight 1.1」では,アプリケーション・ロジックをVisual BasicやC#,PythonやRubyなどでも記述できるようにするほか,モバイル・デバイス向けの「Silverlight for Mobile」も提供するとしている。

 Silverlightの正式版は,2007年夏にリリースする予定。7月13日に発売するExpression StudioやExpression Blendでも,Silverlightアプリケーションのユーザー・インターフェース(XAML)を簡単に編集できる。

VC1エンコーダを無償提供,Flashの動画配信に対抗

 
写真2●Silverlightで強調している用途が「動画配信」
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 マイクロソフトは,「YouTube」といった人気の動画サービスで,プレイヤー技術にFlashが採用されていることをかなり意識しているようだ。6月14日の発表会でも,Silverlightで動画ストリーミングが可能であることを強くアピールしていた(写真2)。

 動画ストリーミング用途として,マイクロソフトは「Expression Studio」や「Expression Media」のユーザーに対して,Windows Media 9をベースにしたコーデック「VC-1」対応のビデオ・エンコーダ「Expression Media Encoder」を無償提供する。Expression Media Encoderを使うと,720pに対応した高精細動画を品質を落とさずに圧縮したり,DRM(デジタル著作権管理技術)を適用したりできる。マイクロソフトは「Silverlightが登場することによって,企業でなければ難しかったHDの動画配信が,より多くのユーザーにとって可能になるだろう」と強調している。

ただし現時点ではSilverlightに未対応

 
写真3●Silverlightの開発ができるExpression Blend 2
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 Silverlightをアピールするマイクロソフトだが,実は7月13日に発売される「Expression Studio」や「Expression Blend」は,Silverlightに正式対応していない。現在マイクロソフトは,Silverlightに対応した「Expression Blend 2」のアルファ版(写真3)を提供しており,Silverlightの開発はこちらを使うことになる。なおマイクロソフトは,Expression Blend 2に関しては,バージョンアップではなくサービス・パックのような形で機能を無償提供するとしている。

 単体製品の価格は,Expression Blendが6万5940円,Expression Mediaが3万9690円,すでに販売しているExpression Webが3万9690円,Expression Designの単体版は販売しない。