KDDIは6月13日,定例の社長会見を開催した。総務省が5月に,2.5GHz帯の免許方針案を「第3世代携帯電話(3G)事業者とそのグループ会社は対象外」と公表したことを受け,小野寺正社長兼会長への質問は,この免許方針案関連に集中した。
総務省の2.5GHzの免許方針案について小野寺社長は,「(現在総務省が募集している)パブリック・コメントで正式に回答する」としながらも,「KDDI単独でやりたかったし,そのための準備もしてきた。総務省の方針案は残念だ」と本音を語った。その一方で,「まだ単独で免許をもらえるという一縷(いちる)の望みはある。そうでない場合のやり方は検討中」とも述べた。
免許方針案では,「3G事業者とそのグループ企業でも,3分の1未満の出資による事業参加は可能」とされている。そのため,「もしそうなった場合,具体的にどうするかまだ分からないが,当社が中心となってまとめていく必要がある。主導権をとってやっていきたい」(小野寺社長)と,単独の免許交付でない場合の意欲も隠さなかった。
3分の1未満の出資による間接的な参入の場合でも主導権を取れるとした背景には,「KDDIには技術開発力や,これまでの経験がある」(小野寺社長)という自負がある。
総務省が,技術間競争と新規参入の促進を図るのが目的として3G事業者とそのグループ会社を対象外とした点については,「競争促進という目的自体は問題ないとい思う」と一定の理解を示した。しかし,「問題なのは,通信サービスというものは,安定的に運用していく必要があるということ。通信事業者は市場に参入して競争しつつも,安定したサービス提供を続けるという責務も持つ。参入してユーザーを取ってから,結局退出してしまうのでは,ユーザーは困ってしまう。政策上,競争のことを考えるのは分かるが,それだけではない。サービスの安定提供をどう考えるのか,これをきちんとできる事業者でないとまずいだろう」との見解を披露した。
KDDIは「WiMAXフォーラム」のボード・メンバーとしても活動しているが,「今後もボード・メンバーを続けていく。免許は取れると思っているからだ」(小野寺社長)と免許取得に強気な姿勢を見せた。
販売奨励金のない新販売方式は慎重に
携帯電話関連では,販売奨励金のない販売方式や割賦販売の検討状況,5月の月間純増で初のトップになったソフトバンクモバイルへの対抗策などへの質問が飛んだ。
販売奨励金のない新しい販売方式については,「新たな料金体系を考えていることは表明してきたが,総務省のモバイルビジネス研究会の報告書を見つつ,今後も検討を続ける。研究会が望む方向と,我々が望む方向を考えて決める」とした。割賦販売については「新しい料金体系を考える中での検討項目の一つ。しかし,ユーザーが本当に納得のいく割賦販売が可能なのかどうか,慎重に検討している」という。
ソフトバンクモバイルの躍進に関しては,「ソフトバンクが活躍しているのは間違いなく,要因はいろいろあると思う。とはいえKDDIが昨年の5月と比べて販売数を落としているわけでもない。料金競争をやるつもりはなく,我々が特徴の出せる方法を考えながら次の手を打ちたい」と述べた。
また,小野寺社長はKDDIがCATV向けに提供している電話サービス「ケーブルプラス電話」が6月13日の朝から不具合を起こしていることを陳謝し,「詳細な原因を調査中」とした。