2007年10月の郵政民営・分社化で誕生する「ゆうちょ銀行」の基幹システムを6月12日にNTTデータが落札した件(関連記事)で、NTTデータの提案が性能・価格の両面で、日本IBMを上回っていたことがわかった。NTTデータは日立製作所と組んで旧UFJ銀行の勘定系システムをベースにしたシステムを提案した。日本IBMは旧大和銀行の勘定系システムを担いだ。

 落札者の決定方法は、システムの性能面の評価と入札価格を勘案する「総合評価方式」だった。NTTデータの提案は、性能面の得点が355点で価格面の得点が218点の合計573点だった。日本IBMの提案は、性能面の得点が200点で価格面の得点が126点の合計326点。247点の差がついた。

 日本郵政公社はWTO(世界貿易機構)の「政府調達に関する協定」に従って、ゆうちょ銀行の基幹システムの国際調達を進めた。06年11月15日から12月6日までの間に、調達の事前手続きとして「仕様書案」を公開。その後07年3月20日に入札公告を公示し、正式な「仕様書」を提示した。それから5月10日11時30分に提案書の提出を締め切り、5月31日午後3時10分に開札をした。

 本来ならここで落札ベンダーが決まるはずだったが、NTTデータの応札価格が220億円と、郵政公社の予定価格400億円(本誌推定)の6割を下回ったため、郵政公社は落札ベンダーの決定を保留していた。郵政公社のシステム調達では、応札価格がベンダーの原価計算書などから算出した「予定価格」の6割を下回ると、決定を保留し価格の正当性を調査するルールになっているのだ。品質低下につながらないか確認するためである。

 郵政公社はNTTデータから応札価格の算出根拠を示す資料の提示を求めるなどして、応札価格の妥当性について調査を進めてきた。その結果、「問題なく契約を履行できると判断した」(郵政公社調達部門)。そうして6月12日、落札ベンダーをNTTデータに決定した。

 旧UFJ銀行のシステムは日立製メインフレームで動作することから、ゆうちょ銀のシステムの動作プラットフォームは日立製メインフレームとなる可能性が高い。