東京大学の坂村健教授
東京大学の坂村健教授
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三井不動産東京ミッドタウン事業部長の市川俊秀氏
三井不動産東京ミッドタウン事業部長の市川俊秀氏
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近くにあるマーカを認識し、自分の現在地を割り出して端末に表示する。参加するツアーを選択すると作品までのルート案内を開始
近くにあるマーカを認識し、自分の現在地を割り出して端末に表示する。参加するツアーを選択すると作品までのルート案内を開始
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ルート案内の途中で目印となるポイントや迷いやすいポイントは画像を表示して指示を出す
ルート案内の途中で目印となるポイントや迷いやすいポイントは画像を表示して指示を出す
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作品に到着すると、作品や作者を説明する情報を表示できる
作品に到着すると、作品や作者を説明する情報を表示できる
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 東京・港区にある複合施設の東京ミッドタウンは2007年6月12日、専用端末と無線技術を利用して施設内のアート作品を紹介するサービス「ユビキタス・アートツアー」の概要を発表した。「ユビキタスコミュニケータ」と呼ばれる専用の携帯端末を持って施設内を歩くと、作品が置かれている場所までのルート案内や各作品の解説が表示される。ユビキタスコミュニケータは、来場者にレンタル料500円、保証金500円(端末返却後に返金)で貸し出す。6月13日にサービスを開始する。

 東京ミッドタウンには、著名な芸術家などが制作したオブジェや建築物が29作品ある。ユビキタス・アートツアーは、これらの作品を「アート堪能コース」「庭園コース」「雨の日コース」など7つのテーマに振り分け、順番に見て回れるようにした。

 ユビキタス・アートツアーに参加する来場者は、ユビキタスコミュニケータを借り、自分のみたいコースを選ぶ。すると、そのコースの順路で次に向かう作品までのルートが端末に表示される。作品のそばにいくと、表示が作品の説明や作者のプロフィールに切り替わる。作品によっては作者のインタビュー動画なども視聴できる。日本語のほか、英語、中国語、韓国語、フランス語にも対応した。

建物内のマーカーから情報を受信

 ユビキタス・アートツアーの基礎になっているのは、「ユビキタスマーカー」と呼ばれる装置と携帯端末のユビキタスコミュニケータだ。これらを連携させることで、端末を持つ来場者の位置を確認し、その場所に適した情報を提供する。

 東京ミッドタウンでは、建設段階で施設内の500カ所にユビキタスマーカーを設置した。これらのマーカーは半径10メートル圏内に固有の番号を発信している。ユビキタスコミュニケータはマーカーの近くを通ると、マーカーの番号を受信。自分の位置を認識し、地図や目指す作品までのルート案内を画面上に表示する。作品のある場所に到着すると、専用のデータベースサーバーにアクセスして作品や作家の情報を再生する。

 ユビキタス・アートツアーの技術を開発した東京大学の坂村健教授は「今回はアート作品の紹介だが、技術自体はさまざまな分野に応用できる」と主張した。これを受けて、東京ミッドタウンを運営する三井不動産東京ミッドタウン事業部長の市川俊秀氏は「来場者向けサービスだけでなく、施設管理にも利用したい」と話した。例えば、従業員に携帯端末を配布して施設内の各場所から設備の利用マニュアルを閲覧できるようにしたり、警備員に携帯端末を配布して巡回状況の確認や業務連絡に利用したりといった使い方を想定しているという。

 なお、ユビキタス・アートツアーは東京都が進めている「東京ユビキタス計画」の一環。今後、同様の位置情報サービスや情報提供サービスの実証実験が銀座でも実施される予定だ。また、東京ミッドタウンがある六本木の周辺地区への展開も検討中だという。

・東京ミッドタウンのWebサイト
・ユビキタス・アートツアーの案内および予約サイト