米Adobe Systemsは米国時間6月11日,アプリケーション実行環境「Adobe Integrated Runtime(AIR)」のベータ版を公開した。これまで「Apollo」という開発コード名で呼ばれていたもの。OSに依存せずに,HTML/CSS,Ajax,Flashなどをデスクトップ・アプリケーションのように動作できるようにする。

 Adobe AIRは,「WebKit HTML」エンジン,「ActionScript Virtual Machine」,ローカル・データベース機能「SQLite」など,おもにオープンソース技術によって構成されている。新しいベータ版では,PDF形式のサポートを加え,Adobe Reader 8.1の機能を活用してPDFファイルを組み込めるようになった。ユーザーは,ブラウザでPDFファイルを利用するのと同じように,Adobe AIRアプリケーション内でPDFファイルを閲覧できるようになる。そのほかにも,JavaScript開発者向け機能およびFlexとの統合を強化し,ローカル・データベース,透過HTMLウィンドウやドラッグ&ドロップのサポートを追加した。

 Adobeは同日,リッチ・インターネット・アプリケーション(RIA)を開発するためのオープンソース・フレームワーク「Flex 3」のベータ版も公開した。このベータ版では,新しいユーザー・インタフェース機能を加え,開発者の生産性を高める機能やテスト・ツールなどを強化した。同社は,Flexをオープンソース化する計画も明らかにしている。

 Adobe AIRのベータ版とソフトウエア開発キット「Adobe AIR Software Developer's Kit(SKD)」は,Adobe LabsのWebサイトから無償でダウンロードできる。対応言語は英語で,Windows版とMacintosh版を用意。Linux版およびほかの言語への対応も予定している。Flex Builder 3およびFlex 3 SDKのベータ版も,同Webサイトから無償でダウンロードできる。対応言語は英語のみで,Windows版とMacintosh版を用意。正式版は,2007年下半期にオープンソース・ライセンス「Mozilla Public License」に基づいて公開される予定。

発表資料(1)
発表資料(2)