まつもとゆきひろ氏
まつもとゆきひろ氏
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日本Ruby会議2007の会場
日本Ruby会議2007の会場
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 「“Railsの次”は必ず来る。そのキーワードはスケーラビリティになるだろう」---6月9日から10日かけて開催された日本Ruby会議2007で,Rubyの作者であるまつもとゆきひろ氏がRubyの現在と将来をテーマに基調講演を行った。

 まつもと氏は「2007年とその先のRuby」と題して講演。Rubyの現状についてまつもと氏は「Google,Yahoo!,ニフティで利用されており,楽天技術研究所のフェローをやることになった。ゴールドマンサックスでも採用を検討しており,呼ばれて話をした。エンタープライズ領域でも使えるのでは,というところまできた」と語った。
 
 このようなビジネス用途への普及を促したのがWebアプリケーション・フレームワーク「Ruby on Rails」だ。まつもと氏が「この中でRailsで仕事をしている人は?」と尋ねたところ,約400人の参加者のうち3分の1以上が手をあげた。

 もちろん課題もある。まずはスケーラビリティ。大規模なシステムへの適用が進むにつれ,ハードルは高くなる。と同時に,高負荷に耐えるための改良も進む。ミニメッセージSNSのTwitterでは最大秒間1万1000リクエストを処理しているという。 

 パフォーマンスについては,2007年12月にリリース予定の次期版1.9で,笹田耕一氏が開発したRuby仮想マシン実行環境を組み込むことにより向上する見込み。Unicodeサポートの改善についてはまつもと氏が現在作業中だ。

 Webアプリケーション・フレームワークには一種の流行があり,Railsの次がいつか来るだろうとまつもと氏は予測する。「どのようなものになるはわからないが,そのキーワードはスケーラビリティになるだろう」(まつもと氏)。プログラム・サイズ,開発メンバーの数,アクセス数,マルチコアに対するスケーラビリティ,それを解決するフレームワークがRailsの次になるとまつもと氏は見る。

 「未来は,Rubyがさらに普及しているかもしれないし,次の言語が席巻しているかも知れない」(まつもと氏)。まつもと氏は,関心を持っている言語としてErlang,Scala,Haskell,Sawazall,Fortress,Python3000,Perl6をあげた。

 しかし,まつもと氏にとって一番の言語はやはりRuby。「じいさんになってもRubyしていたい」。それがまつもと氏の夢だという。