富士通は6月8日、2007年度から3カ年の経営方針説明会を開催した。経営目標は、2009年度に連結営業利益を06年度の3.6%から5%超に高めること。中でも、SIサービスやサーバーなど「テクノロジーソリューション」分野は、連結営業利益を同5.2%から7%超に上げるとの高い目標を掲げた。

 黒川博昭社長は、テクノロジーソリューション分野の目標達成に向けた課題として、UNIXサーバーやIAサーバーなど「システムプラットフォーム」事業の業績回復を挙げた。同事業の連結営業利益は、04年度に440億円だったのが06年度は75億円と365億円も減収した。同期間でサービス事業の連結営業利益が866億円から1561億円へと695億円伸びたのとは対照的だ。

 06年度の営業利益率を見ても、システムプラットフォーム事業は1.1%とサービス事業の6.4%に大きく水をあけられている。サーバーの生産を続ける必要があるのかとの質問に、黒川社長は「強い製品がサービスの差異化につながる」と反論するが、それどころかサービスの足を引っ張りかねない状況だ。

 黒川社長は、06年のハード不振の原因を3つ挙げた。まず基幹IAサーバー「PRIMEQUEST」の不振。05年6月の出荷開始後3年で1万台の販売を目指しているが、現時点で「低迷している」(同)。第2に、IAサーバー「PRIMERGY」の価格競争による苦戦がある。3番目が、サン・マイクロシステムズと共同開発したUNIXサーバー「SPARC Enterprise」の出荷が遅れたことだ。

 システムプラットフォーム事業を総括して、黒川社長は「(インパクトの)小さな製品を出しているだけで、市場をリードする製品を出せていない」と反省する。にもかかわらず、富士通は同事業を管轄する「システムプロダクトビジネスグループ長」の伊藤公久経営執行役常務が、パソコンや携帯電話など「ユビキタスプロダクトビジネスグループ」の責任者を兼務している状態だ。

 業績回復が至上命題の事業部門にしては、本気度が足りないのではないかとの問いに、黒川社長は「(体制強化については)昨年の夏から検討を続けてきた。だが議論がなかなか進まなかった。そこで思い切って、責任者を部外から登用しようと考え、ユビキタスプロダクトビジネスグループ長だった伊藤常務を兼務とした。伊藤常務には、サーバーの方にスタンスを移してもらっている」と説明した。

 システムプラットフォーム事業の健全化に向けて、富士通は製販一体化による製品開発力の強化、製品の種類を3分の1に絞り込むことによるリソースの有効活用と製品開発スピードの向上、製品とミドルウエアを組み合わせたインフラ提案の強化などを目指す。黒川社長は「他社に半歩先んじる製品を出荷し、1年で売り切って、長く使ってもらえるような製品を作れと発破をかけている」と語った。