ディー・エヌ・エーの守安功・取締役ポータル・コマース事業部長
ディー・エヌ・エーの守安功・取締役ポータル・コマース事業部長
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 6月6日~7日に東京ミッドタウンで開催された,インターネットや携帯電話を活用したマーケティングに関するイベント「NET Marketing Forum」で,「モバゲータウン」の会員数増加手法が注目を集めた。モバゲータウンはディー・エヌ・エーが提供する携帯電話ゲームとコミュニティのサービス。2006年2月に開始したばかりだが,現在,会員数は500万,月間ページ・ビューは100億を超える。

 NET Marketing Forumで講演したディー・エヌ・エーの守安功・取締役ポータル・コマース事業部長によると,当初,会員は口コミで急増した。「10代後半は口コミの伝播力が強く,若年層は爆発的な形で会員が増えた。10代後半で圧倒的な認知度を誇っている」(守安氏)。その結果,16才人口の40%強がモバゲータウンに登録,16才の男性だけに限ると,50%がモバゲータウンの会員になっているという。

 10代からは圧倒的な支持を受けるモバゲータウン。しかし,20代や30代以上の会員はなかなか増えなかった。そこで採った施策が「マス広告」。つまり,テレビCMや雑誌広告,電車内のステッカー広告などへの出稿である。

 マス広告を始めると,会員の純増数が2倍以上に伸びた。昨年,会員の純増数は月20万人程度だったが,今年2月,3月にマス広告を行ったおかげで,純増数が月70万人くらいに増えた。4月にテレビCMをいったんやめると会員純増数は月40数万人に下がった。だが,5月,6月に新しいテレビCMを始めると,純増数は再び60数万人に回復した。テレビCMなどのマス広告の効果は明らかなものとなった。

 マス広告により,期待通り20代以上の会員が増えた。今年2月の時点で10代の会員が62%を占めていたが,5月には53%まで下がった。代わりに30代以上の会員は8%(2月)から13%(5月)に伸びている。

 インターネット時代,ブログやSNSなどを介する“ネットの口コミ”効果が話題になることが多い。しかし,従来型のマス広告の効果はまだまだ健在であると言えそうだ。