アマゾン ジャパンは6月8日、有料会員サービス「Amazon プライム」を開始した。年間3900円支払えば、何度でも配送料なしで買い物ができる。新たなサービスをきっかけに、日本の市場拡大のために投資を進めることを明らかにしたほか、「中国市場の実績に満足している。投資比率も高まっており、今後も増やしていきたい」とアマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス創業者兼CEO(最高経営責任者)は、中国市場への投資についても意欲を示した(写真1)。
Amazon プライムは2005年に米国で開始したサービス。米国以外での展開は日本が初めてだ。従来、利用者は1500円以上購入しなければ配送料が無料とならなかった。また、翌日の配送指定をする場合、別途350円の有料オプションを選ぶ必要があった。Amazon プライムの会員には、この利用制限やオプションの設定をなくした。会員の利用頻度などによって、しばらくの間は同社にとってコスト増のサービスとなるが、「今後は配送効率の向上を見込んでいるので、長期的に見ればメリットがある投資」とベゾスCEOは新サービスの位置づけを説明した。
同社は今後のビジネス展開として、あらゆるアイテムを扱うという。中でも音楽データや動画データといったデジタル・メディアの販売について「潜在性が高い分野だ」(ベゾスCEO)とみる。MP3形式の音楽データ配信サービスを2007年後半に米国のアマゾンで開始することを例に挙げ、「他国での今後の動向にも注目して欲しい」(ベゾスCEO)と米国外での販売を示唆した。
また、インターネット上で噂になったというアマゾンとグーグルの合併構想についてベゾスCEOは、「憶測は気にしないことにしている」と一蹴。「過去12カ月の売り上げ金額は110億米ドル。年間の伸び率では30%増と好調だ。今後はサービスを提供中の国にフォーカスを当て、品揃えの拡大、低価格化、配送の効率化などを実現するための投資を続ける」と記者発表会を締めくくった。