通信機器販売会社のNAJ(本社、大阪市)が、富士通の100%出資の連結子会社である富士通関西システムズ(FKS)などを巻き込んで、存在しない商品取引を伝票上だけでやり取りする「架空循環取引」を繰り返していたことが分かった。NAJは、5月31日に大阪地裁に自己破産を申請している。

 破産宣告の資料などによると、NAJは200億円超の架空売り上げを計上していたとされる。富士通側は、「FKSはその一部に加わった。最大でも合算で40億円」とする。

 架空取引の対象商品は、パソコンなどのコンピュータ機器。FKSの営業担当課長が関与した。「営業担当課長によると、NAJからの要請でかかわったと聞いている」(富士通広報)。架空循環取引には、NAJとFKSのほかに複数の企業がかかわっているが、まだ明らかになっていない。富士通側は、「NAJが中核になったとみられる」という。

 NAJが破産申請するきっかけとなった一つに、今年5月、同社に25.8%出資していたIT関連会社のオープンループが持分法適用関連会社としての会計処理を取りやめ、損害賠償請求を決議したことがある。オープンループが決算のためにNAJの経営内容などを調べた結果、「半年で売上金額が急に減ってみたり、内容が不明瞭だった。調べてみると、株式を取得した昨年の資料とも食い違いがでたり、説明に整合性を欠いていた」(オープンループ広報)という。NAJは、01年11月期は売り上げが約4億9200万円だったのに対し、06年11月期には約236億1100万円になっていた。

 オープンループは、株式取得代金3億5100万円のうち回収見通しが不確定の3億100万円を、2007年9月期の中間期において特別損失計上する。さらに、株式譲渡人であるNAJの役員に対し、損害賠償請求をこれから進める。