写真●米ジュニパーネットワークスのジュディ・ベニンソン サービスプロバイダー戦略&プランニング担当副社長
写真●米ジュニパーネットワークスのジュディ・ベニンソン サービスプロバイダー戦略&プランニング担当副社長
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 米ジュニパーネットワークスのジュディ・ベニンソン サービスプロバイダー戦略&プランニング担当副社長が来日し,ワールドワイドでの通信事業者をとりまくサービス状況の変化と,それに対応するために通信事業者がインフラで着目すべきポイントと対策を提言した(写真)。

 まず,通信事業者のサービスとインフラには,五つのトレンドが見られるという。具体的には,(1)ユーザーごとにカスタマイズされたサービスに対する需要の高まり,(2)ビデオ・コンテンツの増加に伴うトラフィック増,(3)映像を含むIP系サービスの運用コストの低廉化を目指す取り組み,(4)IPネットワークが国民的なインフラになりつつあること,(5)新しいビジネスモデルの創出──である。

 例えば(1)に関しては,ユーザーごとに内容がカスタマイズされたパーソナライズドWebページや,自分でチャンネルを自由自在に設定できるパーソナラナイズドTVといったサービスが増えると予想する。こうしたサービスは今後,「固定系事業者と移動系事業者,あるいは通信事業者とコンテンツ・プロバイダが組んで展開するケースが増加することが予想される」(ベニンソン副社長)。このため通信事業者には,FMC(fixed mobile convergence)のインフラやポリシーに応じてIPサービスを制御する仕組みなどが必要になるという。

 また(2)についてベニンソン副社長は,トラフィック分析機器のベンダーであるカナダのサンドバインが調べた2006年の米国におけるアプリケーションごとのトラフィック分析データを用いて説明した。同社の調査によると,2006年のストリーミングのトラフィックはわずか2%に過ぎなかったという。過半の54%を占めているのはPtoP(ピア・ツー・ピア)のトラフィックだ。ベニンソン副社長は,ビデオ・コンテンツの増加に伴い,ストリーミングのトラフィックはますます増えると予想する。このため,「通信事業者はサービス基盤の高性能化や通信の高速化,ビデオ・コンテンツの最適化などを考える必要がある」と指摘した。

 さらに,それに伴って重要になるのが(3)の映像を含むIP系サービスに関する運用コストの低廉化であるという。コストを抑えるには,安価なネットワーク構築やコア機能の統合,イーサネットの活用,セキュリティ機能の追加などがカギを握ると指摘する。ベニンソン副社長は,「こうした五つのトレンドはここ2~3年のうちに起こる。通信事業者は,インフラに対して様々な策を採っていく必要があるだろう。我々は通信事業者がこうしたサービスを提供し,かつ収益を出すための力になっていきたい」と締めくくった。