シトリックス・システムズ・ジャパンは6月6日,アプリケーション・スイッチ「Citrix NetScaler」の機能を強化したと発表した(写真1)。同社が個別に販売しているWebアプリケーション・ファイアウォール(WAF)やSSL-VPNの機能をNetScalerに統合するなどの強化を図った。
アプリケーション・スイッチは本来,複数台のWebサーバーにトラフィックを振り分けるための装置である。WAFやSSL-VPNとは用途が異なるものの,サーバーの手前に設置するという点では共通する。1台の装置に統合して一括運用すれば,ユーザー企業は管理負荷の軽減が期待できる。
さらにシトリックスは,NetScalerによるWAFのパフォーマンスは,既存の専用機よりも向上していると説明する。NetScaler用のカスタムOSである「NetScalerOS」上で動作できるようにしたためだ。「専用機は120Mビット/秒程度の処理能力だが,NetScaler上では最大で1.8Gビット/秒の性能を発揮する」(シトリックス・システムズ・ジャパンの山村剛久ネットワークプロダクト担当部長)。
出荷開始は7月2日。今回の機能強化による装置価格の変更は特にない。このため,NetScalerのユーザーは保守契約を結んでいれば無償でアップグレードができる。ただし,WAF機能は既存のライセンス・メニューではオプション扱いのため,利用する際に追加費用が発生する。シトリックスはWAF機能を標準で利用できる新しいライセンス「Platinum Edition」も追加した。
併せてシトリックスは,WAN高速化装置「Citrix WANScaler」の国内販売を7月2日に開始すると発表した(写真2)。Windowsのファイル共有に使われるCIFS(common internet file system)など,遅延に弱い通信の手順を最適化してレスポンスを高める製品である。
特徴は既存のネットワークに透過的に導入できること。拠点間に専用のトンネルを設定する競合製品と比較して,導入時のネットワークの設定変更作業が少なくて済む。価格は最も低価格の「WANScaler 8310」の場合で85万円(税抜き)から。