ワークショップの様子。参加者が小グループに別れて地域サイトのアイデアを出す。議論にはパネリストも参加した。
ワークショップの様子。参加者が小グループに別れて地域サイトのアイデアを出す。議論にはパネリストも参加した。
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 6月6日、東京ミッドタウン(東京・六本木)で開催中のイベント「NET Marketing Forum」において、「ネットを活用した地域と企業のコラボ・マーケティング~企業×ネットによる地域産業振興の未来~」と題したワークショップが行われた。パネリストはバーチャル和歌山取締役営業部長の道本浩司氏とシブヤ経済新聞編集長の西樹氏。モデレーターは大手町ビジネスイノベーションインスティテュート(OBII)の藤代裕之氏が務めた。

 ワークショップ前半は道本氏、西氏がそれぞれの活動について説明した。道本氏は市町村の情報を地上デジタル放送に自動的に配信すると同時に、地域サイト「バーチャル和歌山」を核として「インターネット市民塾」などNPOと協働しながら地域コミュニティから行政に情報を循環させる仕組み「和歌山ユビキタス 地域情報提供システム」について解説した。

 西氏は、シブヤ経済新聞について「ニュース媒体だけでは大きく儲けることはできないが、7年も続けていると地域との縁が深まる。すると人の関係の中から新しい仕事が生まれたり、面白いことが起こったりする」と、サイトの意義を説明。また、「シブヤ経済新聞」の編集方針について「取材に基づく街ネタ」「おバカなネタも真面目な文体で」「お金を受け取って記事を書かない」などの特徴を述べた。

 後半はワークショップ参加者が小グループに分かれて「地域メディア(地域サイト)を作ってみる」という課題に取り組んだ。ミッションは地域の活性化だ。メディアの名前、どんな情報を、誰に発信するのかなどについて、パネリストも参加して約30分ほどグループごとに議論を行い、それぞれのアイデアを発表した。

 多くの参加者同士が初対面にもかかわらず、グループに分かれての議論は大いに盛り上がった。実現可能性はともかく、ユニークな地域メディアのアイデアも数多く生まれた。「新たに人々が出会うことで新しい発想が生まれる。そのためにネットが大きな力となる(実際、今回の参加者はネットで参加登録した)」という、インターネットとリアルの連動によるダイナミズムを、簡易ながらも参加者が体感できるワークショップとなった。各グループの発表概要は以下の通り。(発表順)。

  • 首都圏に住んでいる温泉好きな富裕層シニア向けの静岡県伊豆地方の情報サイト「温泉に住みたい」
  • 後継者不足など困りごとがある地域が他の地域の人に助けを求める「Help Earth」
  • 自分が自分が住んでいない町の魅力をそれぞれの人が発信する「地域新発見」
  • 他の地域の人が、ある地域のウソネタ(ニュース、ランキングなど)を書き込み、そのウソネタに対して地元の人が必死に否定する「都市仮設」
  • 地域を一番よく知っているのは犬である。そこで、愛犬家のためではなく、あくまでもそこに住んでいる人のための役に立つ情報を犬の目線で伝える「@dog press」
  • 東京都港区の自然を動画で紹介し、港区で働くサラリーマンに憩いを提供する「港区田舎tube」
  • 一人暮らしの都市生活者向けに、カラオケ、ハイキングなど普通は一人ではやらないようなことなどを一人で楽しむための情報を提供する「一人でどーもくん」
  • 地域のアルファブロガー(投票で認定された影響力のあるブロガー)を育成、クローズアップする「地域クチコミナビ」
  • 地域のアマチュアスポーツの情報(対戦者募集など)を集積する「スポーツステーション」
  • 長野県松本市民22万人を1日一人ずつ紹介する「大松本人」
  • 半径1~2キロくらいの範囲の地元情報を全国展開する「ご近所ネット新聞」
  • 大盛を“売り”にしている地域の飲食店を紹介する「デカ盛り.net」
  • ガイドが豊橋市(愛知県)の情報を紹介する、「All about」の豊橋市版のようなサイト「教えて、豊橋のおたく」
  • 地域の“危ない”人を紹介する「クレイジー・ビレッジ」

 各グループの発表後、二人のパネリストにより「道本賞」「西賞」がそれぞれ選ばれた。道本氏は「見ている人も喜ぶし、参加型のアイデアとしても斬新」という理由から「都市仮設」を、西氏は「僕はネーミングで満足しないと先に進めないタイプ」ということで「大松本人」を選んだ。